著者
辻 祐一郎 阿部 祥英 三川 武志 板橋 家頭夫 酒井 糾
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.105-110, 2007-11-15 (Released:2008-05-12)
参考文献数
10

A群β溶血性連鎖球菌 (以下,溶連菌) 感染症は,小児科診療上最もよく接する細菌感染症である。その感染後に伴う合併症として,急性糸球体腎炎は,頻度も高く非常に重要な疾患である。しかし,臨床現場では,溶連菌感染後にどのように急性糸球体腎炎を検索し,診断するかは,個々の医師の判断に任されており,種々の方法がみられる。患児側からすると,診断した医師によって検尿の施行時期や回数,診断基準が異なることは混乱をきたす。今回は,小児腎臓病を専門としている医師のみでなく,小児一般臨床を行っている小児科医に対しアンケートを行い,検尿の施行時期,回数,診断基準などについて回答を得た。その回答から,多くの溶連菌感染後急性糸球体腎炎にたいする捉え方があることがわかった。今後,小児における分かりやすい溶連菌感染後急性糸球体腎炎の診断基準の作成や溶連菌感染後急性糸球体腎炎の発症予防を考慮した治療指針などの作成が望まれると思われた。