著者
三木 祥男 新川 拓也 野原 幹司 奥野 健太郎
出版者
The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.155-165, 2006-04-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
15

日本語の母音を音響的に検討し, 3つの音響的キューを見出した.第1の音響的キューは, 第2フォルマント周波数と第1フォルマント周波数の比であった.第2の音響的キューは, 第3フォルマント周波数と第2フォルマント周波数の比であった.これらは単一音響管モデルの摂動理論によって理論的に説明される.第3の音響的キューは, 第2フォルマント周波数と第3フォルマント周波数の中間領域での相対的強さと閾値から求められる.このキューは, マスキング現象に関係づけられる.84名の音声から3つの音響的キューの規準を定めた.これらの規準により「母音の話者正規化問題」を解決できた.この方法を障害音の音声分析に適用し, 異常構音を判定するのに有効であることを確認できた.