著者
久保田 尚浩 三村 博美 島村 和夫
出版者
岡山大学
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.17-21, 1988-02
被引用文献数
2

モモ果実の渋味と土壌水分との関係を明らかにするために,コンテナ植えモモ樹の果実肥大,屈折計示度及びフェノール含量に及ぼす乾燥ならびに湛水の影響を調査した. 1)野性モモ台`武井白鳳'について果実発育第Ⅱ期(前期)と第Ⅲ期(後期)に2週間乾燥処理した.果実肥大はいずれの処理時期とも対照区より劣り,特に後期乾燥区で著しく劣った.屈折計示度は後期乾燥区で最も高かった.全フェノール,不溶性フェノール含量ともに対照区よりも両乾燥区で多かった. 2)寿星桃台,ユスラウメ台及びニワウメ台`山陽水蜜'について果実発育第Ⅲ期に約2週間,乾燥及び湛水処理した.果実肥大は各台木いずれの処理区でも対照区より劣った.屈折計示度は,乾燥処理区では対照区に比べて共台とユスラウメ台で高く,ニワウメ台で差がなかった.湛水処理区ではユスラウメ台で差がなく,ニワウメ台で低かった.全フェノール及び不溶性フェノール含量は,共台とニワウメ台では対照区よりも乾燥処理区で多く,ユスラウメ台では乾燥処理区で少なかった.湛水処理区ではユスラウメ台,ニワウメ台ともに対照区よりも多く,特にニワウメ台で多かった。