- 著者
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鈴木 隆雄
峰山 巌
三橋 公平
- 出版者
- The Anthropological Society of Nippon
- 雑誌
- 人類學雜誌 (ISSN:00035505)
- 巻号頁・発行日
- vol.92, no.2, pp.87-104, 1984-04-15 (Released:2008-02-26)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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4
北海道西南部の内浦湾に所在する入江貝塚から出土した,縄文時代後期に属する成人骨格の四肢骨に明らかな病理学的所見が認められたので報告する。この個体(入江9号人骨)は思春期後半に相当する年令段階にあると考えられるが,その四肢長骨は総て著しい横径成熟障害を示し,また長期の筋萎縮に続発したと考えられる骨の著明な廃用萎縮を呈していた。このような長骨の形態異常は長期に経過する筋麻痺を主体とした疾病の罹患によってもたらされるものと考えられるが,そのような疾患について,好発年令,発生頻度,麻痺分布,生命予后などの点から考察した。その結果,この入江9号人骨にみられた四肢骨病変の原疾患として急性灰白髄炎(急性脊髄前角炎,ポリオ,小児マヒ)が最も強く疑われた。