著者
米安 実 三浦 芳助
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.41-47, 1981-01-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

3℃で冷蔵した大豆(新大豆)と,40℃,RH 75%で30日間貯蔵した大豆(古大豆)を試料として,電解還元処理が大豆の豆腐加工適性に及ぼす影響を検討し,つぎの結果を得た。(1) 古大豆のNSIは,新大豆に比べてかなり低いが,攪拌抽出時に電解還元処理を施すことによって,新大豆に近い値まで向上することが認められた。(2) 脱脂した古大豆の水抽出液のSH基は,新大豆に比べて少ないが,同抽出液を電解還元処理することによって,新大豆よりも多くなることが認められた。(3) 脱脂した古大豆の水抽出液の7S成分に対する11S成分の比率は,新大豆に比べて小さいが,同抽出液を電解還元処理することによって,かなり復元されることが認められた。(4) 古大豆で製造した絹ごし豆腐は,新大豆で製造したものに比べて,水分が多く,タンパク質と遊離アミノ酸が少ない,やわらかい豆腐になる傾向があったが,浸漬中に電解還元処理を施した古大豆で製造した絹ごし豆腐は,新大豆で製造したものにほぼ近いことが認められた。(5) 絹ごし豆腐中のタンパク質含量がほぼ等しい場合には,古大豆で製造したものよりも,浸漬中に電解還元処理を施した古大豆で製造したもののほうが,かたいことが認められた。
著者
神原 彩 三浦 芳助 瀬山 一正
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.95-103, 2012 (Released:2013-01-23)

我々は「食物成分の操作による尿のアルカリ化が尿酸排泄を促進する」ということを発見した.この発見を生活の場で具体化するためには,献立をたてる段階で,食物が代謝された時に尿酸だけでなくH+の生成量を予測することが必要不可欠となる.Frassetto等(1998)は,食事に含まれるタンパク質(g)とK+(mEq)の比率であるP/K比は,腎による正味の酸排泄量([滴定酸]+[NH4+]-[HCO3-])と直線的相関関係があると報告している.我々は,この仮説が過去4年間に得られたデータと一致するか検証した.得られた結果は彼らのデータを支持するものであった.そこで,プリン体含有量とP/K比で分類した食物を選択するための簡単な参照表を作成した.プリン体はすでに金子氏によって報告されたデータを使用し,P/K比は五訂増補日本食品標準成分表を用いて算出した.高尿酸血症予防のためによいとする食事のP/K比の境界線は,日本痛風・核酸代謝学会の治療指針に尿路結石予防のために尿pHを6.0以上に維持することが示されているので,尿pH6.0に相当する一日当たりの食事のP/K比1.5とした.