- 著者
-
藤澤 宏幸
末永 直樹
三浪 明男
石田 和宏
- 出版者
- 日本理学療法士学会
- 雑誌
- 理学療法学 (ISSN:02893770)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.2, pp.75-81, 1997-03-31 (Released:2018-09-25)
- 参考文献数
- 8
肩関節内旋運動時の肩甲下筋などの筋活動を検討した。対象は成年男性8名(平均年齢28.3 ± 4.4歳)の右肩,被験筋は肩甲下筋,大胸筋鎖骨部・胸肋部線維,広背筋,三角筋前部・中部・後部線維,棘上筋,棘下筋の9筋とした。テスト肢位はlift-off test(以下,LOT)middle・low・high position,下垂位,90度外転位,最大屈曲位の6種類で,運動の種類は自動運動と等尺性最大抵抗運動(以下,抵抗運動)とした。結果,各LOTにおける自動運動では肩甲下筋活動が他の筋活動よりも有意に高かった。抵抗運動では広背筋活動も高く肩甲下筋活動と有意な差はなかった。その他のテスト肢位における自動運動では,肩甲下筋活動が平均で2.0〜12.1%とLOT middle positionの場合と比較して有意に低かった。抵抗運動では,肩甲下筋活動が全ての肢位で高く,各肢位間で有意な差はなかった。また,最大屈曲位では肩甲下筋活動が他の筋活動と比較して相対的に高かった。以上より,3種類のLOTでは自動運動において肩甲下筋活動が選択的に高いこと,また肩甲下筋損傷・筋力低下の臨床テストとして,最大屈曲位での抵抗運動がLOTと相補的な役割を果たせる可能性のあることが示唆された。