著者
清河 幸子 三澤 美翔 鈴木 宏昭
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第13回大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2015 (Released:2015-10-21)

本研究では,学習時に,刺激を視覚呈示することに加えて,親近性の高いメロディに合わせて聴覚呈示することが記憶に及ぼす影響を検討した。同様の検討を行った清河・三澤・鈴木 (2014) では,刺激の視覚呈示に加えて童謡「ふるさと」に合わせて聴覚呈示を行った条件(替え歌条件)において,読み上げ音声の聴覚呈示を追加した条件(読み上げ条件)や視覚呈示のみを行った統制条件に比較して自由再生課題の成績が高いことが示された。この結果は,メロディにより記憶が促進されたものと解釈されたものの,原曲の歌詞が手がかりとなった可能性が考えられた。そこで,本研究では歌詞のない原曲を使用することで歌詞と刺激の類似性が手がかりとして作用する可能性を排除した。その結果,歌詞のない原曲を用いてもメロディに合わせて聴覚呈示を加えることの促進効果が確認された。この結果は,メロディ自体が記憶を促進することを示唆している。