著者
三輪 進 斎藤 彰彦 幸谷 智 加来 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.285, pp.43-48, 2000-09-07
被引用文献数
1

本論文は、レーダにおける信号対クラッタ比(SCR)について、どう定義すれば視覚によって感じる値と一致するかを考察した第一報である.まず, 考え得る色々なSCRの算出式を定義する.ついて, 小型船舶用レーダにより取得した検波後のデータにおいて、信号部分を切り出して伸縮させ、任意のSCR状態を作り出す.これにSCR改善手法の一例として, ウェーブレット変換を施す.これら処理前, 処理後のデータの鳥瞰図を複数の人から成る2つのグループに見せて得たアンケート結果を示し, SCR定義との関連について考察する.第1グループの評価では, 「ターゲットの平均電力/クラッタの標準偏差」の定義が視覚結果に最も近かったが, 第2のグループの評価はどの定義式よりも低く, 評価方法を再検討する必要を感じた.
著者
清水 めぐみ 幸谷 智 三輪 進 加来 信之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.7, pp.1058-1066, 2000-07-25
被引用文献数
9

レーダクラッタのセル間自己相関関数は, 信号のそれに比べて一般に早く減衰するので, 検波後波形はクラッタのほうが信号よりもスパイキーになる.一方, 図形処理において, 小さな点を消去するのに収縮法が用いられる.したがって, パルス積分の前処理として収縮法を用いることにより, 信号対クラッタ比を更に改善する効果が期待できる.本論文では, アジマス及びレンジ方向にそれぞれ複数のセルをもつ窓を設定し, 窓内のセルに一つでも振幅値0がある場合は窓の中心のセルの振幅値を0とする収縮法を適用し, この後2次元移動平均により平滑化を行った.実験には仙台空港に設置された実験用空港面探知レーダを用いたが, 適当なレベルの目標とクラッタを含むデータが取得できなかったので, 各種条件下における目標とクラッタの合成データにこの手法を適用した.この結果, 単なる2次元移動平均よりも信号対クラッタ比を改善することができたが, 場合によっては視覚上は改善されていても, 数値上改善されない例が見受けられた.そこで, 信号対クラッタ比の定義自体についても考察を加えた.