著者
上原 徳子
出版者
宮崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中国語文化圏では現在も小説に限らず様々な形で古典を娯楽作品や芸術作品として取り入れている。調査の結果、現在も明代短篇小説のテレビドラマ化が進められていることがわかった。また、映像化の傾向には90年代の原作に沿ったものから2000年代に入ってからの思い切った翻案をする手法へと変化が見られる。我々がこの事象について考察するとき、原典とされる小説が何であるかや登場人物の服装や言葉遣いが古いことに注意するだけではなく、現代人がその枠組みを必要としていることに注目すべきである。これはなにより中華文化圏では「古典」が文化の根底にあることを示しているのである。