著者
吉武 孝次郎 永野 賢 上原 慎平 福島 庸介 河野 眞司 崎村 陸
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.527-530, 2018-09-25 (Released:2018-11-12)
参考文献数
11

膝十字靭帯のムコイド変性は比較的に稀である.今回,尿酸結晶沈着にムコイド変性を併発した1例を経験したので報告する.症例は38歳男性.痛風発作の既往あり.数年前より右膝窩部に違和感があり,1週間ほど前より誘因なく屈曲制限が出現した.診察上,関節水腫は軽度,膝屈曲時に膝窩部に疼痛を認めた.MRIで後十字靭帯(PCL)は著明に腫大し,内部はT2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.鏡視にてPCLは靭帯全周性に結晶が沈着し,脆く,膨化していた.機能不全に陥った部分を切除すると,内部に黄色のムコイド変性が露出し,これを可及的に切除した.PCL後方には結晶沈着とガングリオンが観察され,可及的に切除した.病理診断にて,結晶は尿酸結晶,切除検体はムコイド変性だった.術後6カ月で症状なく,関節不安定もなく経過良好である.
著者
上原 慎平 岡崎 賢 佐々木 大 岩本 幸英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.271-273, 2014-03-25 (Released:2014-07-01)
参考文献数
8

比較的まれな,膝十字靭帯にムコイド変性を認めた2症例を経験した.症例(1):51歳男性.誘引なく可動域制限を伴う左膝痛が出現した.診察上,関節水腫を認めた.MRIで前十字靱帯(ACL)は膨化し,T2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.鏡視ではACLは肥厚し内部に黄色粘液貯留を認めた.掻把を行い症状改善した.症例(2):48歳男性.家の掃除後から可動域制限を伴う左膝痛が出現した.診察上,関節水腫を認めた.MRIで後十字靱帯(PCL)は肥厚し,T2強調画像で高信号変化を認めたが,連続性は保たれていた.内部に黄色粘液貯留を認めた.掻把を行い症状改善した.病理診断はムコイド変性だった.ACL,PCLのムコイド変性は部分断裂と誤診されることがあり.注意が必要である.