著者
上坂 晃一 高橋 応明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.9, pp.1548-1557, 2006-09-01

近年の非接触ICカード/RFIDタグ等の急速な普及には目覚ましいものがあるが,使用されているアンテナは,システム全体の中で最も設計が難しいといっても過言ではない.これはアンテナの設計パラメータが,形状,材質,ICとのインピーダンス整合,通信エリアや各種規制等の遵守等々と非常に多岐にわたるためである.まず,このRFIDシステムには使用する周波数帯がいくつか用意されている.この中で13.56 MHz帯を用いるシステムでは,アンテナが波長に対して非常に小形となることから微小アンテナの設計技術を必要とする.またUHF帯(860~960 MHz)やISM帯(2.45 GHz帯)等では13.56 MHz帯の場合とは異なり,通信エリアが電磁界の近傍界から遠方界にまで及ぶことから,その全域で動作させる必要があり,設計が困難となる.更に,RFIDを貼り付ける物質(金属や高誘電体等)によっても,アンテナ特性が大きく変化する.本論文では,これらの事例について,無線ICタグの設計法を述べる.