著者
上垣 隆一 川野 和男 大澤 玲 木村 俊之
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 動物衛生研究部門 = Bulletin of the NARO, National Institute of Animal Health (ISSN:24327875)
巻号頁・発行日
no.124, pp.9-13, 2018-03-31

プラスチック樹脂製のパウチ袋をサイロにして飼料用米のサイレージ調製実験を行なった。破砕し水分を調整した籾米に乳酸菌を加えた後にパウチ袋に詰め,ヒートシール,ワニ口クリップ,ひもで縛る,結束バンドで縛るの4つの方法で封入口を密封した。室温で32 日間の貯蔵を行い,サイロ内の酸素濃度を非破壊で測定するとともに,サイレージの醗酵品質(pH,有機酸濃度,微生物数)を解析し,密封法との関連を検証した。サイロ内の酸素濃度は,すべてにおいて1 日後に0%になり,ヒートシール法ではサイロ内の酸素濃度は32 日間0%を維持した。その他の方法では5 日を経過する頃から酸素濃度が上昇が認められ,20 日前後には13-16%程度まで上昇した。サイレージの醗酵品質は,ヒートシール法が,低いpH の値(3.86)や乳酸濃度が高い値(1.21%)であること等から,サイレージ醗酵が良好に進行したと判断した。一方,その他の密封法の醗酵品質はpH が4-4.13,乳酸濃度が0.65-0.88%と劣質で,一部かびの発生も認められるなど,サイレージ醗酵は不良であった。以上より,ワニ口クリップ,ひもで縛る,結束バンド法の密封法はサイレージ調製には不向きで,ヒートシールのように,完全に密封させる方法が酸素の侵入を防ぎサイレージ発酵も促進させるサイロの密封法として適していると考えられる。
著者
上垣 隆一 殷 煕洙 桑原 雅彦 石井 康雄 小原 裕三 上路 雅子 中村 幸二 成田 伊都美
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.154-158, 2001-04-25
被引用文献数
2 2

生茶葉と荒茶,及び荒茶の湯抽出液中から検出されるダイオキシン類の濃度を明らかにした.生茶から荒茶を製造する過程で乾物率は4倍増加したが,茶葉中のダイオキシン類の濃度(生葉で 0.048~0.48 pg-TEQ/g,荒茶で 0.14~0.82 pg-TEQ/g)は約2~3倍の増加で,茶葉の乾物率の増加よりも低い値を示した.また,荒茶の湯抽出液中でのダイオキシン類濃度はN.D.~0.00006 pg-TEQ/g であった.生茶と荒茶のダイオキシン類異性体の組成を比較すると,荒茶ではO<sub>8</sub>CDDを除く全異性体が減少した.