著者
木村 俊之 高 建 坂下 幸司 黎 暁紅 浅岡 佐知夫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.40-50, 2012-01-01
参考文献数
27
被引用文献数
8

ノルマルヘプタンを原料としてヘビーナフサ異性化触媒の開発を行った。ライトナフサ異性化触媒として開発されたPd/ナノサイズAl<sub>2</sub>O<sub>3</sub>/H-BEAゼオライト複合触媒はノルマルへプタンにおいてもナノアルミナ複合効果を発揮したが,高転化率では分解反応が進行した。そこで触媒の残留塩素除去処理を行ったところ,高転化率,高選択性を発揮したことから,残留塩素が塩化アルミニウムのような強い酸点となり,分解活性点として働くと考えられた。また,複合化したナノアルミナは,ゼオライトの強酸点をマイルド化し分解反応を抑制する効果があることが明らかとなった。ナノシリカとの複合化ではその効果が現れなかったことから,ナノアルミナの塩基性によって,ゼオライト表面の強酸点が中和されたと推測された。アルミナ複合触媒は,塩素除去処理を行うことで分散性が約2倍になったことから,ナノアルミナが有する塩素吸着能がパラジウムの分散性に効果的に働いたと推測された。
著者
上垣 隆一 川野 和男 大澤 玲 木村 俊之
出版者
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
農研機構研究報告 動物衛生研究部門 = Bulletin of the NARO, National Institute of Animal Health (ISSN:24327875)
巻号頁・発行日
no.124, pp.9-13, 2018-03-31

プラスチック樹脂製のパウチ袋をサイロにして飼料用米のサイレージ調製実験を行なった。破砕し水分を調整した籾米に乳酸菌を加えた後にパウチ袋に詰め,ヒートシール,ワニ口クリップ,ひもで縛る,結束バンドで縛るの4つの方法で封入口を密封した。室温で32 日間の貯蔵を行い,サイロ内の酸素濃度を非破壊で測定するとともに,サイレージの醗酵品質(pH,有機酸濃度,微生物数)を解析し,密封法との関連を検証した。サイロ内の酸素濃度は,すべてにおいて1 日後に0%になり,ヒートシール法ではサイロ内の酸素濃度は32 日間0%を維持した。その他の方法では5 日を経過する頃から酸素濃度が上昇が認められ,20 日前後には13-16%程度まで上昇した。サイレージの醗酵品質は,ヒートシール法が,低いpH の値(3.86)や乳酸濃度が高い値(1.21%)であること等から,サイレージ醗酵が良好に進行したと判断した。一方,その他の密封法の醗酵品質はpH が4-4.13,乳酸濃度が0.65-0.88%と劣質で,一部かびの発生も認められるなど,サイレージ醗酵は不良であった。以上より,ワニ口クリップ,ひもで縛る,結束バンド法の密封法はサイレージ調製には不向きで,ヒートシールのように,完全に密封させる方法が酸素の侵入を防ぎサイレージ発酵も促進させるサイロの密封法として適していると考えられる。
著者
木村 俊之
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.57-62, 2010-02-15
参考文献数
24
被引用文献数
2 6

近年の疫学的研究により、食後高血糖が心筋梗塞などの動脈硬化性疾患に対する独立した危険因子であることが明らかにされ、食事後の血糖のコントロールが糖尿病予防のターゲットと考えられている。我々が摂取している食品成分の中には食後血糖値の上昇を穏やかにするものがあり、食習慣に取り入れることで糖尿病の予防効果が期待される。桑葉は古くから糖尿病の予防効果が謳われてきた素材であり、科学的アプローチにより、その有効成分、メカニズム、効能などが解明されつつある。本総説では、桑葉の糖尿病予防食素材への可能性と筆者らの取り組みについて解説する。
著者
木村 俊之
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.57-62, 2010-02-15 (Released:2010-03-31)
参考文献数
24
被引用文献数
5 6

Epidemiological evidence indicates that postprandial hyperglycemia is an independent risk factor for cardiovascular disease. Improved postprandial glycemic control is promising for decreasing morbidity and mortality of cardiovascular disease in pre-diabetic and diabetic individuals. Recently, clinical trials such as the STOP-NIDDM Trial and Voglibose Ph-3 Study demonstrated that α-glucosidase inhibitor (αGI) reduces progression to type 2 diabetes from impaired glucose tolerance. Much attention has, therefore, been focused on αGI as a preventive and therapeutic agent for type 2 diabetes and its complications. Mulberry leaves have been known to prevent diabetes in Asian countries as traditional medicine. According to a previous study, mulberry leaves have strong αGI activity and its activity is caused by 1-deoxynojirimycin (DNJ), a glucose analogue. We developed an HPLC method to accurately quantify DNJ in mulberry leaves and optimized the process to achieve a DNJ-enriched (1.5%) mulberry leaf extract. We evaluated the effect of the extract on postprandial glycemic control by oral sucrose tolerance test and by a 38-day dietary trial. A dose above 0.8g of the powder (corresponding to 12mg DNJ) per, the elevation of postprandial blood glucose and secretion of insulin were suppressed significantly. Hypoglycemia, abnormal lipid profiles, or any other adverse events were not observed during and after the study period. DNJ-enriched mulberry extract may be useful in improving postprandial glycemic control in pre-diabetic or mild diabetic individuals.
著者
山岸 賢治 老田 茂 木村 俊之 岩下 恵子 新本 洋士
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.456-458, 2007-10-15 (Released:2007-11-30)
参考文献数
9

生キクラゲ水抽出液の50~70%硫安沈殿物は,マウス前駆脂肪細胞3T3-L1のトリグリセライド蓄積を阻害した.さらに陰イオン交換カラムクロマトグラフィーで部分精製した画分は,3T3-L1の分化を抑制した.この活性画分には,分子量10000以上のタンパク質が複数認められた.