著者
進藤 穣 上新 学 御木 英昌
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.726-730, 2000-07-15
被引用文献数
1

魚肉すり身の低温脱水過程で, 魚肉タンパク質の変性による魚肉の平衡含水率の低下が想定される。そこで, 脱水特性曲線より得られる限界含水率(Wc)を指標に, 低温貯蔵中(0℃)の筋原繊維(Mf)タンパク質の変性とWcとの関係を検討した。減率脱水期間内に変曲点を示す第二限界含水率((Wc)<SUB>2</SUB>)が得られた。(Wc)<SUB>2</SUB>は貯蔵日数の経過とともに低下した。また, (Wc)<SUB>2</SUB>はMf Ca<SUP>2+</SUP>-ATPase全活性およびMf溶解度に対して, それぞれ高い正の相関(r=0.94,0.88)を示した。以上より, (Wc)<SUB>2</SUB>はタンパク質の変性状態を知る指標になり得ると考えられた。