著者
山崎 歌織 外西 壽鶴子 御木 英昌
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.163, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 味噌漬したカツオ肉の旨味の増加は、味噌の遊離アミノ酸によることが明らかになった。SDS電気泳動法により味噌漬カツオ肉と漬味噌のタンパク質分解過程を調べた結果、味噌漬10日以降でカツオ肉タンパク質の分解が認められた。この分解は、味噌あるいはカツオ肉のいずれのタンパク質分解酵素によるのかを検討した。 【方法】 凍結カツオ肉を解凍後切り身(20±1g)に調製し、同量の味噌で覆いラップ包装して10~30日間5℃で冷蔵保存したものを試料とした。漬込み期間終了時に漬味噌を外し、漬味噌と味噌漬カツオ肉をそれぞれホモジナイズして、プロテアーゼ活性を調べた。 【結果】 味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性はpH 3で最も高く、pH 5から下降しpH 7~8では若干の活性であった。一方漬込み前のカツオ肉(無処理)は、pH3~8間で活性はほとんど認められなかったが、味噌漬カツオ肉の場合pH7付近において僅かに出現することが判明した。pH3では、無処理カツオ肉と同様味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性は検出されなかった。これらのプロテアーゼの種類を調べるため、アスパラギン酸プロテアーゼの阻害剤Pepstatin Aとセリンプロテアーゼの阻害剤AEBSFによる阻害効果をみた。pH3における味噌及び漬味噌のプロテアーゼ活性は、Pepstatin AとAEBSFによりそれぞれ阻害された。味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性(pH7)も両者によりそれぞれ阻害された。無処理カツオ肉で検出されなかったpH7におけるプロテアーゼ活性が味噌漬カツオ肉に認められたが、pH3においては無処理カツオ肉同様味噌漬カツオ肉には検出されなかった。このことは、味噌漬中に味噌の何らかの成分がカツオ肉に移行して、pH7における味噌漬カツオ肉のプロテアーゼ活性を高めたのではないかと考えられた。
著者
進藤 穣 上新 学 御木 英昌
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.726-730, 2000-07-15
被引用文献数
1

魚肉すり身の低温脱水過程で, 魚肉タンパク質の変性による魚肉の平衡含水率の低下が想定される。そこで, 脱水特性曲線より得られる限界含水率(Wc)を指標に, 低温貯蔵中(0℃)の筋原繊維(Mf)タンパク質の変性とWcとの関係を検討した。減率脱水期間内に変曲点を示す第二限界含水率((Wc)<SUB>2</SUB>)が得られた。(Wc)<SUB>2</SUB>は貯蔵日数の経過とともに低下した。また, (Wc)<SUB>2</SUB>はMf Ca<SUP>2+</SUP>-ATPase全活性およびMf溶解度に対して, それぞれ高い正の相関(r=0.94,0.88)を示した。以上より, (Wc)<SUB>2</SUB>はタンパク質の変性状態を知る指標になり得ると考えられた。