著者
上村 圭介
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.272-276, 2006-06-01

デジタル技術とデジタル・ネットワークの普及は,クリエイティブ・ユーザーと呼ばれる新しいコンテンツの作り手を生み出した。従来の著作権制度の枠では,このような作り手によるコンテンツの創作活動のニーズに十分応えることができないため,「クリエイティブ・コモンズ」と呼ばれる著作権の運用が提案されている。本稿では,クリエイティブ・コモンズの目的と考え方,コンテンツの自由な共有を事実上実現するための仕組みについて論じた上で,クリエイティブ・ユーザーの時代にふさわしい著作権制度を考える上で,クリエイティブ・コモンズの試みがもたらす意義について考察する。
著者
上村 圭介
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-23, 2006-09

研究論文:自由論題本稿は、第一に従来ソフトウェア工学上の問題として理解されてきたソフトウェアの多言語化を言語計画の観点から位置づけるための理論的な枠組みを提示する。第二に、各言語における多言語化の現状を分析し、言語間における多言語化の進展状況の隔たりが単に技術的な要因や経済的な要因だけで生じているものではないことを示す。最後に、これまで多言語化における格差を解消するために導入されてきた方策を評価し、その上で、今後、多言語化の格差解消のためにどのような方策が有効となりうるかを論じる。This article presents a theoretical framework to discuss the issue of software localization from a perspective of language planning. Secondly, it provides analysis on the status of software localization to show that the difference among languages in the extent to which localization is achieved is not attributed to technological and economic factors alone. Thirdly, the article provides a language planning model to intervene into the processes for software localization, followed by a study on one of the interventional measures, to conclude with discussion on the effectiveness and future issues of these interventional measures.
著者
上村 圭介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.87, pp.167-174, 2003-08-28
被引用文献数
1

国際的な文字コードの開発により、ある言語で使われている文字の一つ一つをコンピューターの内部処理で使用する上での問題は少しずつ解決しつつある。次に目指すべき課題は、言語固有の組版やレイアウトの規則に基づいて、一つ一つの文字を適切に配置するために必要なスタイル指定の開発である。英語、ヨーロッパの言語、日本語の組版のためのスタイル指定の記述枠組みは、国際的な規格としても制定されている。しかし、その規格が、その他の、特にアジアの諸言語に対して適用できるかどうかはこれから検証する必要がある。その結果次第では、アジアの諸言語で用いられている組版要素や特徴の規格への追加が必要となる。本稿では、このような視点から行なわれたアジアのいくつかの言語における組版の現状調査の結果について報告し、多言語組版の標準化への示唆について考察する。An increasing number of languages can have their writing in coded characters as standardisation efforts were carried out at international levels. However, in order for any electronic document to be accepted fully by the user, a speaker of the language, there are other issues to be answered than the coded character.One of these issues is document style specification. Although there has been international initiative towards the standardisation of document style specification, the applicability of the standards must be examined in light of languages other than those that were originally presumed in the standard, particularly to that of languages in Asia.This article introduces the reader to the results of the survey in document style and layout in some Asian langauges, and draws implication to the future standardisation of multilingual document formatting.