著者
李 洪千
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.124-143, 2007-04

研究論文:自由論題本研究は政治報道における「戦略型フレーム」の増加が人々の政治不信を強めることを明らかにしようと試みた。戦略型フレームとは、政治家個人の利害や選挙対策に焦点を当てたシニカルな報道傾向である。分析の結果、政治報道の焦点は、一般政策や政治的争点から個人の政治家に移っており、戦略型フレームの増加が人々の政治不信の増大をもたらしている可能性が示唆された。 This paper aims to analyze the increasing use of strategic news frame in political news coverage. The "strategic news frame" refers to the cynical trend in news reports focusing on the personal interest of politicians and their campaign strategies rather than the policy of their parties. By applying the tools of content analysis - focus, tone, and content - the increase in the strategic frame of political news coverage by the Asahi Shimbun and the Yomiuri Shimbun is analyzed. The result of the analysis was that from 1980 to 2000 the focus in political news coverage shifted from general policies and agenda to the politicians and an increasing trend in strategic news frames could be noted. These two characteristics are seen as the cause of the raise in political cynicism of the general public in Japan.
著者
中室 牧子 藤原 夏希 井口 俊太朗
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.178-197, 2014

特集 SFCが拓く知の方法論#研究論文近年, 入試形態の多様化が進むにつれて, AO入試による入学者が入学後にどのようなパフォーマンスを発揮しているのかということが注目を集めている。本研究では, SFC在学者に対する質問紙調査をもとに, AO入試入学者と一般入試入学者とを比べて, どのような差が生じているのか —特に, リーダーシップの発揮や, 満足度, 目的意識, SFCへの帰属意識, 精神面の健康状態— を定量的に明らかにすることを目的とする。AO入試を選択する受験者が, そもそも他の入試区分を選択する受験者と根本的に異なっている可能性があり, 入試区分の選択がランダムでないことによって生じるセレクション・バイアスをコントロールするため, 傾向スコアマッチングという手法を用い, 入試区分と上記のような教育成果との因果関係を明らかにすることを試みる。実証分析の結果, AO入試で選抜された入学者は, リーダーシップを発揮し, 何かしらの課題や目標とともに, SFCに帰属意識を持ちつつ大学生活を送っていると判断することができる。特に, AO入試の目的の一つが「問題意識の明確な学生を確保するため」だとするならば, SFCのAO入試という選抜制度はその趣旨にかなった役割を果たすことが出来ていると評価できよう。
著者
上村 圭介
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.4-23, 2006-09

研究論文:自由論題本稿は、第一に従来ソフトウェア工学上の問題として理解されてきたソフトウェアの多言語化を言語計画の観点から位置づけるための理論的な枠組みを提示する。第二に、各言語における多言語化の現状を分析し、言語間における多言語化の進展状況の隔たりが単に技術的な要因や経済的な要因だけで生じているものではないことを示す。最後に、これまで多言語化における格差を解消するために導入されてきた方策を評価し、その上で、今後、多言語化の格差解消のためにどのような方策が有効となりうるかを論じる。This article presents a theoretical framework to discuss the issue of software localization from a perspective of language planning. Secondly, it provides analysis on the status of software localization to show that the difference among languages in the extent to which localization is achieved is not attributed to technological and economic factors alone. Thirdly, the article provides a language planning model to intervene into the processes for software localization, followed by a study on one of the interventional measures, to conclude with discussion on the effectiveness and future issues of these interventional measures.
著者
戈木 クレイグヒル 滋子
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.30-43, 2014

特集 SFCが拓く知の方法論#招待論文本稿では, 日本における質的研究の現状を説明したあと, グラウンデッド・セオリー・アプローチ(以下GTA)の特徴と研究の流れを概説した。質的研究では研究者が道具となってデータ収集とデータ分析をおこなうが, GTAはデータ収集と分析で生じる研究者のバイアスを最小限にとどめるとともに, データ分析の局面では研究者の解釈を他者と共有し, アイデアを産出することを容易にする仕組みを有した研究法だと思われる。
著者
西岡 啓二
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.126-129, 2007

自由論題研究ノートA theorem analogous to Picard's theorem on representation of a plane algebraic curve of genus greater than 1 with meromorphic functions will be proved. Its enunciation will be done for elements in a Fuchsian extension defined in this note instead of considering for meromorphic functions. As seen straightforwardly, a differential extension generated with solutions of linear ordinary differential equations turns out to be Fuchsian, hence the theorem deduces a corollary that solutions of linear ordinary differential equations substaintially satisfy no Fermat equations. 種数>1の平面代数曲線の有理型関数による表現に関するピカールの定理の類似が証明される。命題は有理型関数に対してではなく、このノートで定義されるフックス拡大の要素に対して記述される。線形常微分方程式の解で生成される微分拡大はフックス拡大であり、この定理は系として、線形常微分方程式の解はフェルマ方程式を本質的に満足しないという結果を導く。
著者
村井 純 真鍋 大度 藤井 進也 若林 作絵
出版者
慶應SFC学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.8-20, 2020

§ SFCの音楽、そして真鍋さんとの出会い§ 真鍋さんと音楽の出会い§ COVID-19禍で生まれる新しいこと§ 創造性の泉と音楽の科学§ これからの音楽と科学§ 近未来の感動シアター§ 音楽と医科学の可能性特集 音楽と科学対談
著者
庄司 貴由
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.77-88, 2009

モザンビーク自衛隊派遣は、対アフリカ自衛隊派遣の新たな出発点となった。本稿では、モザンビーク派遣における国内の政策決定過程を、安全確保の側面から検証する。派遣地域の選定において、日本政府は五原則に基づき安全性を考慮したが、派遣場所の決定後、安全確保問題は影を潜めることになる。国連の要請とカンボジアにおける警察官の死亡は、その傾向を追認する契機となった。その結果、モザンビーク派遣は通常の半分の期間で準備されたにもかかわらず、現地の活動に遅滞と他国依存をもたらし、派遣要員の負担を増大させたのである。自由論題研究論文
著者
中北 充子
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.57-69, 2010
被引用文献数
1

自由論題研究論文本研究は「リラクセーション」の概念を分析し、産後の女性を対象としたケアにおいてこの概念を適用する可能性を検討することが目的である。Rodgersの概念分析の手法を参考に、先行要件、属性、帰結、関連概念を検討し分析した。結果、リラクセーションを「ストレスと相対する概念で、心身が緊張した状態へ働きかけることによって生じる反応や効果であり、心身のバランスがとれた望ましい状態への変化」と定義した。さらにリラクセーションは、産後早期の女性への看護ケア介入とその評価をする際に適用可能な概念であることを確認した。
著者
松本 修一
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-28, 2009
被引用文献数
3

特集 位置情報計測技術の応用招待論文近年、携帯電話を活用したプローブパーソン調査など交通行動調査への適用が行われている。本研究ではこのプローブパーソン調査で得られるGPS測位データを解析することによって、交通モードや移動経路、立寄り場所などの推定精度を検証するものである。具体的にはGPS携帯をお遍路さんに携帯してもらい、お寺からお寺に移動する際のGPSログデータを解析することから、移動経路や交通モードなどの把握を試みた。この結果遍路の交通モード、立寄り場所などを高い精度で推定することが出来た。
著者
山内 慶太
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.8-22, 2014

特集 「スポーツ」の多様性を探る#招待論文#スポーツと慶應義塾福澤先生は, 「身体健康精神活発」の書幅が象徴するように, 健康を重視し, 自らも運動を熱心に行う人であった。それだけに慶應義塾は, 草創期から塾生の健康と運動に留意して来たが, 明治25年に体育会を創立, 各部は日本のスポーツの発展にも大いに貢献して来た。また, 野球の早慶戦は日本のスポーツ文化と早慶両校の学生文化の醸成に大きな役割を果たして来た。慶應義塾のスポーツは, 小泉信三ら社中の尽力によって守られ, 発展して来たが, 今日では, 研究・教育機関なども拡充しており, その果たすべき役割は更に大きくなっている。
著者
岡田 猛 縣 拓充
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.61-73, 2012

特集 学びのための環境デザイン招待論文創造的な社会には、芸術家のように創造活動を専門とする「創造的熟達者」のみならず、創造活動について知識や経験を持ち、創造活動を楽しむ意欲を備えた「創造的教養人」がたくさん存在することが必要である。本論文は、アート・ワークショップの中で頻繁に起こる表現の「提案」と「触発」をキー・コンセプトとして、市民に芸術表現領域での創造的教養を身につけさせるための教育実践の理論的枠組みを提案し、それに基づいた教育実践の一例を紹介した。
著者
小野田 哲弥
出版者
慶應義塾大学湘南藤沢学会
雑誌
Keio SFC journal (ISSN:13472828)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.78-102, 2007-04

研究論文:自由論題本研究は、テレビ番組視聴質調査『リサーチQ』の回答履歴データを用いた実証研究である。情報バラエティ番組をそれぞれ4つのレイヤーとライフステージへと定量的に分類し、時系列検証を行った結果、3つの代表的ライフサイクルが存在することが明らかとなった。また本研究の独自性はロングテール論を参考に、視聴率の極めて低い深夜番組も分析対象としている点にある。昨今民放キー局において頻繁に行われている「深夜番組のゴールデンタイム進出」に注目し、その成功要因を普及理論とキャズム論の観点から検討した。 This is an experimental study based on the data from Research-Q, a web survey on the quality of TV programs. First, I divided all variety / information programs into layers and quantitatively identified the life-stage of each program. Second, time-series examination was performed on these programs. Finally, the result explained that there are three program-life-cycle patterns in general. The uniqueness of this research is that it refers to The Long Tail and deals with extremely low rating programs being broadcast at midnight. In recent years, it has become popular among key commercial stations to move midnight programs to golden hour. Therefore, I focused on these cases and investigated some success factors based on the diffusion theory and The Chasm.