著者
森田 幸 根ヶ山 清 三好 そよ美 木内 洋之 梶川 達志 末澤 千草 上野 一郎 村尾 孝児
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.294-299, 2014-05-25 (Released:2014-07-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

食用鶏腸管内容物と市販鶏肉を対象にESBL産生E. coliの保菌・汚染状況を明らかにするとともに,分離株のESBL遺伝子型や分子疫学的関連性から汚染経路について検討を行った.食用鶏腸管内容物の65.1%(71/109検体)から88株のESBL産生E. coliが分離された.市販鶏肉では68.0%(34/50検体)から47株が分離された.ESBL遺伝子型は腸管内容物由来株では,CTX-M2型の占める割合が65.9%と最も高かったが,市販鶏肉由来株では,遺伝子型の偏りは認められなかった.養鶏場別のPFGEの結果,類似したバンドパターンを示す株が認められた.以上のことから,ESBL産生菌は養鶏場内で伝播することにより飼育段階で広く保菌されていると考えられた.さらに,事前に見学した食肉加工場の様子から,その処理工程においてESBL産生菌による鶏肉の汚染が拡大している可能性が推察された.