著者
田邉 勇二 上野 伴希 馬場 孝明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J90-B, no.12, pp.1274-1283, 2007-12-01

本論文では,室内の高精度な位置特定を実現させる基礎技術として,これまで報告のなかったアンテナ自身の群遅延解析をダイポール及び八木・宇田アンテナについて行った.2ポートZマトリックスを用いてダイポールアンテナ及び八木・宇田アンテナの群遅延解析を行い,遠方においてアンテナ群遅延が,前者はアンテナの自己インピーダンスで決定され,後者は放射器の自己インピーダンスと放射器近傍に存在する素子間における相互インピーダンスにより決定されることを示した.これらのことを踏まえ,ダイポール及び八木・宇田アンテナを実験により評価したところ共振周波数においてそれぞれのアンテナ群遅延が1.3 λ,2.7 λ(λは波長)となり,高精度な位置特定が必要とされる環境下では無視できない量であることが分かった.更に両実験について電磁界シミュレーションにより比較検討を行い,反射波による影響について考察する.