- 著者
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上野 浩晶
中里 雅光
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬理学会
- 雑誌
- 日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
- 巻号頁・発行日
- vol.127, no.2, pp.73-75, 2006 (Released:2006-04-01)
- 参考文献数
- 9
近年,肥満者の増加と,肥満を基礎にして発症する糖尿病,脂質代謝異常,高血圧症などの肥満症やメタボリックシンドロームを呈する患者数が増加している.しかし,その根底にある肥満の治療法は不十分なままである.最近,NPYやそのファミリー(PP,PYY)を含めてさまざまな摂食調節物質の同定や機能解析が進んでいる.NPYは中枢神経系に存在しており,強力な摂食亢進作用を有している.NPYニューロンを活性化する入力系としてグレリンやオレキシン,抑制する入力系としてレプチンやインスリンがある.入力系の中でも胃から分泌される摂食亢進ペプチドであるグレリンは迷走神経や神経線維を介してNPYニューロンにシグナルを伝達してその作用を発揮している.PPは主に膵臓に発現しており,摂食抑制作用を有する.PYYは十二指腸から結腸までの腸管で産生され,摂食抑制作用を有する.PYYは迷走神経を介して中枢の摂食抑制系ペプチドであるPOMCニューロンを活性化してその作用を発揮している.これら摂食調節ペプチドの機能解析が進んで,ペプチドそのものや受容体のアゴニスト,アンタゴニストといった新規の抗肥満薬の開発や実用化が期待される.