著者
下山 忍
出版者
東北福祉大学教職課程支援室
雑誌
教職研究
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.151-162, 2018-03-31

地理歴史科の教材としてよく知られている「夷酋列像」は、日本近世の「四つの口」における対外交流や、国際環境の変化を踏まえた近世後期の政治状況を考察させるための資料として活用されている。本稿では、この「夷酋列像」を本学所蔵の「アイヌ人物屏風」と比較することでさらに深い読み取りを行い、高等学校学習指導要領「歴史の説明」の実践例として示した。
著者
下山 忍
出版者
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館
雑誌
東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館年報 (ISSN:21862699)
巻号頁・発行日
no.12, pp.27-42, 2021-06-23

東北福祉大学芹沢銈介美術工芸館は183点のアイヌ関係資料、そのうち絵画を17点所蔵している。本稿ではその中の「アイヌ人物屏風」と「種痘施行図」の教材化に向けての情報の整理と活用の提案を行った。すなわち、「アイヌ人物屏風」は、歴史教材としてよく知られている「夷酋列像」との関連性が高く、その虚構性に気付かせ考察させる上で有効な教材である。一方、「種痘施行図」は、18世紀後半のロシアの南下に対応する「蝦夷地幕領化」の時期における「撫育政策」の好適な資料であり、例えば新科目「歴史総合」において、国民国家の形成を考察させる上で「問いを表現する」学習活動などにも活用できる教材である。いずれも学習指導要領等が求めるアイヌの教材化の視点にも合致している資料となりうることを確認できる。