著者
下村 浩一郎
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.80-86, 2020 (Released:2021-02-28)
参考文献数
7

正電荷ミュオンと電子の束縛状態であるミュオニウム(Mu)は,水素原子と極めて状態が似ており,ミュオンを利用した様々な研究で,興味深い役割を果たしている.本稿では,そのなかで素粒子標準理論の精密検証とそれを超えた新物理の探索といった基礎科学的な側面と,ワイドギャップ半導体等での電気伝導性起源の解明といった物質科学への応用という2つの大きく異なる分野でのミュオニウムの役割を簡単に紹介する.
著者
植竹 智 山崎 高幸 下村 浩一郎 吉田 光宏 吉村 太彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2019-06-26

本研究は,レプトンのみからなる水素様純レプトン原子:ミューオニウム (以下Mu)の精密分光により,電弱統一理論の精密検証および新物理探索を行うことを目標とする.具体的には,(1) Muの1S-2S間遷移周波数の精密二光子レーザー分光;(2) 基底状態超微細分裂の精密マイクロ波分光;(3) 荷電束縛系のエネルギー準位に電弱効果が及ぼす影響を摂動2次の項まで取り入れた高精度理論計算;の3つを行う.実験精度を先行研究より大幅に向上させ,基礎物理定数であるミュー粒子質量の決定精度を大きく向上させると共に,理論と実験の比較を通じて電弱統一理論の精密検証と新物理探索を目指す.