著者
下河 敏彦 稲垣 秀輝
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.72-77, 2013-06-10
参考文献数
10

2011(平成23)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は,東北地方から関東地方の広範囲にわたり甚大な被害をもたらした.<br> 今回筆者らは,液状化しやすいとされていた臨海部埋立地のひとつである千葉県の稲毛海岸を中心に,東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の分布状況を調査した.<br> その結果,液状化発生地点は埋立て前の澪筋や古い埋立地の境界などに集中する傾向が認められた.澪筋の堆積物は<i>N</i>値5以下の砂質堆積物である.<br> このように,微地形分布状況と土地利用履歴,地質情報との関連を明らかにすることは,今後の地域防災計画にとっても重要な情報となる.
著者
下河 敏彦 稲垣 秀輝 大久保 拓郎
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.345-349, 2010-02-10
参考文献数
4
被引用文献数
2

近年, 豪雨や地震による自然災害およびそれらに関連する情報の増加によって, 市民の防災意識が高まり, 既存の宅地や斜面・構造物の維持管理に強い関心が向けられている. これに伴い, 市民からの地形・地質調査依頼も増えてきている. 筆者らは, 宅地や近接する擁壁の点検や, ハウスメーカーの地盤調査結果に対する再調査, 災害の危険性をめぐる近隣住民間での訴訟など, 市民からの依頼調査に携わってきた. 本報告は,これらの事例をもとに, 市民の相談窓口の設置や, 地形発達史・地質的背景を踏まえた調査の価値を高めるための取り組みや, 地質技術のアウトリーチのあり方についてまとめた.