著者
小野寺 秀博 阿部 太一 下野 昌人 小山 敏幸
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.100, no.10, pp.1207-1219, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
116
被引用文献数
2 3

Computational materials science is an exciting field which holds much future potential. In this article, at first, the dramatic advances of the computational methodologies are briefly summarized at scales from the atomistic to macroscopic levels. Then, each coauthor introduces the three research fields in detail, (1) CALPHAD modeling supported by key experiments and first-principles calculation, (2) Studies on the phase transformation in alloys based on the MD simulations, and (3) Predictions of the microstructure evolution and the mechanical properties based on the phase-field method, where remarkable progresses have been attained.
著者
鈴木 哲郎 下野 昌人
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

マルテンサイト変態におけるミクロ機構を計算機シミュレーションにより明らかにし、メゾ組織への発展を明らかにするために、変態過程中の個々の原子運動を追跡する分子動力学法を用いて研究を行った。しかし、現在入手可能な如何なる計算機を用いても、巨視的尺度を持つ試料中にある10^<23>個もあるすべての原子の原子を同時に扱う事は出来ない。この分子動力学法における困難を避ける方法として、周期境界条件およぷそのParrinello andRahmanによる拡張が、殆どすべての分子動力学を用いる研究において採用されて来た。我々は、これらの方法をマルテンサイト変態に適用すると如何なる問題が起こるかを詳細に検討した。その結果、現在までに考えられたすべて周期境界条件およびその拡張は、マルテンサイト変態過程を分子動力学法を用いて研究するのに適切な条件を与えない事が明らかになった。このように、現存する周期境界条件はマルテンサイト変態を研究するには用いる事が出来ないとすると、現在入手可能な計算機を用いて直接行える分子動力学法による研究は原子数が10^4個程度如何のクラスターあるいはナノ粒子と呼ばれる金属結晶に限定される事になる。しかし、幸運にも、最近はクラスターあるいはナノ粒子の実験的研究が急速に進展するに従い、それらが示すマルテンサイト変態をふくめて巨視的結晶とは非常に異なる振る舞いが注目される状況になり、我々が周期境界条件を用いずに行うクラスターあるいはナノ粒子に対する計算機シミュレーションの結果が直接最近の実験結果の理解を深めるのに役立つ事になってきた。