著者
小松 麻美 鈴木 哲郎 東原 宣之 忽那 俊樹 饗庭 尚子 山﨑 丞一 増田 卓
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1131-1136, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
23

【目的】廃用症候群の患者において、遷延する低アルブミン血症が入院中に低下した移動能力の回復を阻害する因子となるか否かについて検討した。【方法】対象は、入院後の血清アルブミン濃度(Alb)が2.5g/dL以下を示した廃用症候群の患者108例とした。退院時の移動能力から対象を2群に分類し、退院時までに病棟内歩行が自立した患者を歩行自立群(80例)、歩行が自立しなかった患者を歩行非自立群(28例)とした。患者の Albを入院時、最低値を示した時点、および退院時で評価し、3時点の Albを2群間で比較した。また、退院時の移動能力を規定する因子をロジスティック回帰分析で検討した。【結果】退院時 Albは、歩行自立群と比べ歩行非自立群で有意に低値であった(P < 0.001)。ロジスティック回帰分析において、退院時 Albは退院時の移動能力の低下に対する独立した規定因子であった(P = 0.031)。【結論】廃用症候群の患者において、遷延する低 Alb血症は入院中に低下した移動能力の回復を阻害する因子と考えられた。
著者
鈴木 哲郎 下野 昌人
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

マルテンサイト変態におけるミクロ機構を計算機シミュレーションにより明らかにし、メゾ組織への発展を明らかにするために、変態過程中の個々の原子運動を追跡する分子動力学法を用いて研究を行った。しかし、現在入手可能な如何なる計算機を用いても、巨視的尺度を持つ試料中にある10^<23>個もあるすべての原子の原子を同時に扱う事は出来ない。この分子動力学法における困難を避ける方法として、周期境界条件およぷそのParrinello andRahmanによる拡張が、殆どすべての分子動力学を用いる研究において採用されて来た。我々は、これらの方法をマルテンサイト変態に適用すると如何なる問題が起こるかを詳細に検討した。その結果、現在までに考えられたすべて周期境界条件およびその拡張は、マルテンサイト変態過程を分子動力学法を用いて研究するのに適切な条件を与えない事が明らかになった。このように、現存する周期境界条件はマルテンサイト変態を研究するには用いる事が出来ないとすると、現在入手可能な計算機を用いて直接行える分子動力学法による研究は原子数が10^4個程度如何のクラスターあるいはナノ粒子と呼ばれる金属結晶に限定される事になる。しかし、幸運にも、最近はクラスターあるいはナノ粒子の実験的研究が急速に進展するに従い、それらが示すマルテンサイト変態をふくめて巨視的結晶とは非常に異なる振る舞いが注目される状況になり、我々が周期境界条件を用いずに行うクラスターあるいはナノ粒子に対する計算機シミュレーションの結果が直接最近の実験結果の理解を深めるのに役立つ事になってきた。