著者
小川 綾乃 浅井 さとみ 宮澤 美紀 髙梨 昇 下野 浩一 梅澤 和夫 宮地 勇人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.448-455, 2021-07-25 (Released:2021-07-28)
参考文献数
4

診療のために多用されている超音波検査は,感染対策を怠ればアウトブレイクの原因につながる可能性があり,超音波検査用ゼリー(以下,ゼリー)の衛生管理は院内感染防止のために重要である。本研究は超音波検査実施におけるゼリーとゼリーウォーマ(以下,ウォーマ)の衛生的使用状況を明らかにするため,細菌学的な環境調査を行い,結果に基づく衛生的使用方法について検討した。ゼリーボトル使用開始から終了まで,始業時と終業時にゼリーおよびウォーマから培養検査を行った。その結果,検出された細菌はいずれも環境中またはヒトの常在菌であり,著明な細菌の増殖は確認されず,衛生的な運用がなされていると考えられた。しかし,易感染患者の検査の実施ではより衛生的に使用することが望まれる。リスク低減のため検査開始時には汚染の危険性のあるボトル先端部のゼリーを破棄することや,終業時にはウォーマを清掃・消毒することも有用であると考えられた。