著者
間瀬 浩安 田中 彩乃 篠生 孝幸 野崎 司 浅井 さとみ 宮地 勇人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.413-420, 2015-07-25 (Released:2015-09-10)
参考文献数
6

カフェインはコーヒーや紅茶などに含まれる一般的な物質である。また感冒薬や鎮痛薬など市販薬などにも含まれる物質である。今回,我々は血中カフェイン濃度についてLC-MS/MSを用いイブプロフェン,エテンザミドおよびロキソプロフェンとの同時分析を可能にした。カフェインのPrecursor ionは195.1 m/z,Product ionは138.1 m/zであった。固相カートリッジ抽出の回収率は90%以上であった。HLBを使用した検出限界は0.01 μg/mLであった。イブプロフェン測定法では1.1分に検出され,テオフィリンを測定した場合にもカフェインへの干渉はなかった。缶コーヒー飲用時の血中カフェインピーク濃度は5.65 μg/mL,ピーク時間は60分,半減時間は360分であった。カフェインがイブプロフェン等と同時に測定できることは,感冒薬や鎮痛薬の過量服用の場合の迅速測定に有用である。
著者
高橋 万葉 関根 嘉香 古川 英伸 浅井 さとみ 宮地 勇人
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.15-22, 2013 (Released:2013-06-01)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

室内空気中のアセトアルデヒドの発生源および発生機構については不明な点が多い。本研究では,これまで考慮されてこなかったヒト皮膚表面から放散するアセトアルデヒドの室内空気中濃度に及ぼす影響について,パッシブ・フラックス・サンプラー法による健常人ボランティアを対象とした放散フラックスの実測に基づき検討した。その結果,ヒト皮膚由来のアセトアルデヒドの放散速度は,飲酒後の呼気に由来するアセトアルデヒドの放散速度よりも大きく,呼気よりも重要な発生源であることがわかった。居室の在室者1名を想定した場合,皮膚由来のアセトアルデヒドは,室内濃度指針値レベル(48 μg m-3)に対しては0.87~2.3 %の寄与であったが,飲酒を伴う場合は居室の臭気源になる可能性が示唆された。在室者が複数いる場合には,皮膚からの放散速度は無視できないほど大きな寄与を示す可能性があり,皮膚ガスは新たに着目すべき発生源の一つとなる可能性が示唆された。
著者
小川 綾乃 浅井 さとみ 宮澤 美紀 髙梨 昇 下野 浩一 梅澤 和夫 宮地 勇人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.448-455, 2021-07-25 (Released:2021-07-28)
参考文献数
4

診療のために多用されている超音波検査は,感染対策を怠ればアウトブレイクの原因につながる可能性があり,超音波検査用ゼリー(以下,ゼリー)の衛生管理は院内感染防止のために重要である。本研究は超音波検査実施におけるゼリーとゼリーウォーマ(以下,ウォーマ)の衛生的使用状況を明らかにするため,細菌学的な環境調査を行い,結果に基づく衛生的使用方法について検討した。ゼリーボトル使用開始から終了まで,始業時と終業時にゼリーおよびウォーマから培養検査を行った。その結果,検出された細菌はいずれも環境中またはヒトの常在菌であり,著明な細菌の増殖は確認されず,衛生的な運用がなされていると考えられた。しかし,易感染患者の検査の実施ではより衛生的に使用することが望まれる。リスク低減のため検査開始時には汚染の危険性のあるボトル先端部のゼリーを破棄することや,終業時にはウォーマを清掃・消毒することも有用であると考えられた。
著者
スィーワッタナクン キッティポン 浅井 さとみ 平山 晃大 重松 秀明 新井田 牧子 川上 智子 反町 隆俊 松前 光紀
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会
雑誌
脳血管内治療 (ISSN:24239119)
巻号頁・発行日
pp.sr.2020-1000, (Released:2020-05-15)
参考文献数
11

新型コロナウイルス感染症が社会および医療システムに大きな問題を起こしているが,機械的血栓回収術のような緊急度が非常に高い治療は提供し続ける必要がある.しかし一方で,コロナウイルス感染症は院内感染を来しやすいため,その予防にも努めなければならない.本稿ではCOVID-19 疑い例に対する緊急血管内治療における患者スクリーニングや評価,感染予防・環境汚染対策のための当院のプロトコールを紹介する.
著者
浅井 さとみ 宮地 勇人 良原 栄策 大島 利夫
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

イミペネム、アミカシン、シプロフロキサシンのうち2系統以上の抗菌薬に耐性を示す薬剤耐性緑膿菌とアシネトバクターにおいて、多剤耐性化と遺伝子変異の相互関係、耐性遺伝子獲得の関係を調査した。その結果、薬剤排出ポンプの発現亢進が薬剤耐性緑膿菌と多剤耐性アシネトバクターのほぼ全例に関与していることが分かった。その一方で、薬剤排出ポンプの構成蛋白質の気質となるペプチドを供給する複合体蛋白(Bam複合体)の発現亢進はわずかであった。薬剤耐性の緑膿菌とアシネトバクターにおいて、薬剤排出ポンプ発現のモニタリングは感染制御に役立つことが示唆された。
著者
浅井 さとみ 宮地 勇人
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

緑膿菌の抗菌薬耐性と耐性遺伝子の発現について、既存の遺伝子発現の状態を臨床分離株を用いて詳細に調査し、簡易迅速診断検査に用いるための耐性遺伝子の検索を行った。薬剤排出ポンプ機能の亢進に関与するMexEF-OprNとMexXY-OprM同時発現臨床菌株を用いて、各遺伝子発現の有無を可視的に観察するシステムや、Enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA法)による耐性遺伝子の発現検出法の開発を新たに試みた。Acinetobacter baumanniiでは、薬剤排出ポンプの関与は緑膿菌ほど強くなく、他の遺伝子発現の関与が考えられた。