著者
並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 中村嘉志 西村拓一
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3(2006-HI-117), pp.59-66, 2006-01-13

本論文では,実世界のコンテクストを反映させた情報支援を行うために,オブジェクト同士の局所的な位置と向きの関係を取得し,そこから大局的な関係や意味を抽出するトポロジー推定に関する手法を提案する.また,シミュレーションを用いて本提案手法の基本的な特性を定量的に評価する.さらに,学会や懇親会場などの混雑した空間を想定し,多数のオブジェクトを用いたシミュレーション実験によって数種類の利用シーンに応じて必要となるデバイス特性を明らかにする.実験及び評価の結果,トポロジー推定手法が情報支援に必要なコンテクスト情報を抽出するのに有効であることが示された.
著者
中村 嘉志 並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 西村拓一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1349-1360, 2007-03-15
被引用文献数
13 8

本論文では,位置センサや方向センサを用いなくても,方向に関連付けられた赤外線タグを複数利用することで,人やモノなどのオブジェクトのトポロジカルな二次元の位置関係および向き関係を推定できる手法を提案する.実世界における人を対象とした状況依存型システムでは,人やモノの位置関係をいかにして手軽に取得するかが重要な課題の1 つである.特に人は,何らかの意図や意味があってそこにいるため,位置や向き関係の情報はその人の状況を反映していることが多い.とりわけ向き関係の情報は,向き合っているのかそれとも背中合わせなのかによって同じ位置関係にあっても意味が異なるように,人対人や人対モノの関係において位置関係だけでは困難なより詳細な状況を反映すると考えられる.そこで本論文では,実世界でのオブジェクトの向き関係に着目し,それらから空間全体でのオブジェクトの位置および方向を推定する新たな手法を提案する.計算機シミュレーション実験と試作システムの実機実験を通じて,本手法が位置および向き関係を実世界において推定できることを示す.This paper proposes a method for estimating an object's two-dimensional (2D) position and orientation based on topological information collected using infrared tags without any special location sensors or direction sensors. Estimating a user's location and articles irrespective of circumstances is an important issue for context-aware systems. Because users are present in a location with some purpose or intention, a user's position and orientation clearly reflect their context. Especially, orientation information can reflect a more detailed context than that obtained merely according to the location: people standing face-to-face or back-to-back would have vastly different contexts. In this paper, we particularly examine an object's orientation and describe a new method for estimating an object's position and orientation in an indoor, real-world environment. With a simulation and an implemented prototype system, the experimental results demonstrate the feasibility of our estimation method.