著者
中井 伸子 名和 孝二 前川 美津子 長沢 久充
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.287-294, 1992-07-01 (Released:2010-08-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 3

日本新薬株式会社安全性研究所で育成した実験用ネコ91頭の血液および血清生化学的検査値19項目について, 1~48カ月齢までの変動と性差を検討し以下の成績を得た。成長と関連して変動した項目が多く, 赤血球数 (RBC) , ヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) , 赤血球恒数, GPT, 総蛋白 (TP) およびアルブミン (ALB) は1ヵ月齢より成長に伴い増加した後安定し, 白血球数 (WBC) , アルカリフォスファターゼ (ALP) , 無機燐 (Pi) , 総ビリルビン (TBil) , 総コレステロール (TC) , グルコース (GLU) およびトリグリセリド (TG) は, 成長に伴い減少した後安定した。GOT, 血清尿素窒素およびカルシウムは, 成長に伴う変動が認められなかった。成長に伴い変動した項目の中で, 赤血球恒数, GPT, GLUおよびTCは, 3~4ヵ月齢頃より安定したが, 大部分は, 体重がプラトーになる9~11ヵ月齢頃 (RBC, Hb, Ht, TP, ALB) から18ヵ月頃 (WBC, ALP, TG, Pi) に安定した。このことから, ネコでは, 少なくとも9~11ヵ月齢, 場合によっては18ヵ月齢以上の動物を成熟個体として取り扱うべきであることが示唆された。11ヵ月齢以降, 平均赤血球容積, 平均赤血球ヘモグロビン量およびWBCでは雌が雄より, また, ALBでは全期間を通して雄が雌より高値を示す傾向があったが, 他の項目では明確な性差は認められなかった。
著者
菊森 幹人 西田 伊久男 西村 孝義 安平 公夫 中井 伸子 西口 保幸 岩倉 啓子 長沢 久充 鷲見 信好
出版者
日本毒性学会
雑誌
Journal of toxicological sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.153-163, 1995-12-25
参考文献数
12
被引用文献数
9

Montirelinをマウス, ラットでは静脈内および筋肉内投与, イヌでは静脈内投与した後, 14日間の観察を行い, 単回投与毒性を検討した。1. LD_<50>値は, マウス静脈内投与で雌雄とも500mg/kg以上, ラット静脈内投与で雌雄とも200 mg/kg以上, マウス, ラットの筋肉内投与で雌雄とも20 mg/kg以上と推定された。また, イヌ静脈内投与で最小致死量は雌雄とも200 mg/kg以上であると推定された。2. 一般症状として, マウス静脈内投与では投与中〜投与後30分に振戦, 自発運動の減少が125 mg/kg以上の投与群で認められ, マウス筋肉内投与では投与後5分〜投与後2時間に振戦が5 mg/kg以上の投与群で認められた。ラット静脈内投与では投与中〜投与直後に振戦が50 mg/kg以上の投与群で,自発運動の減少, 失調性歩行が200 mg/kg投与群で認められ, ラット筋肉内投与では投与後5分〜投与後30分に振戦が5 mg/kg以上の投与群で, 流涎が20 mg/kg投与群で認められた。また, イヌ静脈内投与では投与中〜投与後6時間に興奮, かみつき, 発声, 散瞳, 流涎, 排尿, 排便, 舌なめずり, 嘔吐, 心拍数増加, パンティング, 体温上昇, 振戦および結膜充血が12.5mg/kg以上の投与群で認められた。3. 体重, 摂餌・摂水量の推移および病理学的検査では, 被験物質投与に起因したと思われる変化は認められなかった。(試験期間 : マウスi.v. ; 1985年9月17日〜1985年12月10日, マウスi.m. ; 1987年3月2日〜1987年8月31日, ラットi.v. ; 1985年9月17日〜1985年11月30日, ラットi.m. ; 1987年3月2日〜1987年8月31日, イヌi.v. ; 1985年12月10日〜1986年4月30日)