著者
中井 真尚 山本 博之 種本 和雄 宮田 浩章 本村 昇
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.54-59, 2020-04-30 (Released:2020-06-11)
参考文献数
14

【背景】心臓手術後手術部位感染症(以下,SSI)は臨床成績に影響する。日本心臓手術データベース(Japan Cardiovascular Surgery Database:以下,JCVSD)データを利用しSSIの現状を検討した。【方法】JCVSDデータ中2013年〜17年胸骨切開下胸部心臓大血管手術253,159例を対象。Japanese Healthcare Associated Infections Surveillance(以下,JHAIS)に準じcoronary artery bypass graft with both chest and donor site incisions(以下,CBGB)72,513例,coronary artery bypass graft with chest incision only(以下,CBGC)28,579例,cardiac surgery(以下,CARD)152,067例に分類。SSIは深部胸骨感染,下肢創感染を集計。退院時転帰,90日以上の長期入院を検討した。【結果】深部胸骨感染発生率はCBGB1.9%,CBGC1.5%,CARD1.5%でCBGBに多い(P<0.001)。深部胸骨感染例の在院死亡は22.9%(非感染例5%,P<0.001)。深部胸骨感染症例の長期入院は20.8%(非感染例1.6%)であった。【結論】JCVSDを用いたSSIの検討では深部胸骨感染は1.5〜1.9%と比較的低い。しかし深部胸骨感染の生存率,入院日数に与える影響は大きい。