著者
高橋 均 荒 このみ 山本 博之 増田 一夫 遠藤 泰生 足立 信彦 村田 雄二郎 外村 大 森山 工
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

戦後、欧米先進諸国に向けて、開発途上国出身の多くの移民が流入し、かれらを文化的に同化することは困難であったため、同化ではなく統合を通じてホスト社会に適応させようとする≪多文化主義≫の実験が各地で行われた。本研究課題はこのような≪多文化主義≫が国際標準となるような≪包摂レジーム≫に近い将来制度化されるかを問うものである。結論として、(1)≪多文化主義≫の背景である移民のエンパワーメントは交通・通信技術の発達とともになお進行中であり、いまだバックラッシュを引き起こす危険を含む。(2)第一世代はトランスナショナル化し、送出国社会と切れず、ホスト社会への適応のニーズを感じない者が増えている。(3)その反面、第二世代はホスト社会の公立学校での社会化により急速に同化し、親子の役割逆転により移民家族は不安定化する。このために、近い将来国際標準的な≪包摂レジーム≫の制度化が起こる可能性は低い。
著者
山本 博之 田中 篤 北川 諭 鈴木 高祐 藤田 善幸 丸山 正隆
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.579-585, 2003-11-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
22
被引用文献数
2 1

症例は35歳男性. 入院10カ月前から防風通聖散を服用していた. 入院3カ月前にはじめて肝機能異常が出現. 入院6週間前に近医受診, この時点で肝機能障害は増悪していたが, 5種の薬剤を新たに投与され, 防風通聖散はそのまま服用していた. 入院1週間前から黄疸・皮膚掻痒感が出現したため当院へ入院となった. 防風通聖散, および併用薬は入院前日まで服用していた. 入院時ALT 2996IU/l, AST 7174IU/l, T. Bil 15.1mg/dl, PT 30.6%であり, 第2病日肝性昏睡2度となったため劇症肝炎急性型と診断, 血漿交換および血液濾過透析とステロイドパルス療法を開始した. この結果意識清明となり肝機能も急速に改善したが, その後黄疸が遷延し, 肝機能は薬剤中止後4カ月に正常化した. 本症例ではもともと防風通聖散による薬物性肝障害が存在し, そこへ併用薬の影響が加わって最終的に劇症化に至ったものと考えられた.
著者
栗原 一貴 笹尾 和宏 山本 光穂 田中 秀樹 奈良部 隆行 國吉 雅人 会田 寅次郎 岡田 裕子 高須 正和 関 治之 飯田 哲 山本 博之 生島 高裕
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.223-224, 2014-09-12

本論文では,月および火星の衛星画像からあたかも知的生命体によって構築されたかのような構造物(擬似不自然構造物,pseudo-artificial structures)を自動検出する試みについて報告する.NASA Jet Propulsion Laboratory から公開されている観測データを対象として近年発展の著しいパターン認識手法である deep learning を採用し,顔認識技術として Deep Convolutional Network Cascade for Facial Point Detection,およびオブジェクト検出技術として 1000 種類の物体を検出可能な DeCAF (A Deep Convolutional Activation Feature for Generic Visual Recognition)を適用することで,興味深い結果を得た.
著者
山本 博之 田中 篤 北川 諭 鈴木 高祐 藤田 善幸 丸山 正隆
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.579-585, 2003-11-25
参考文献数
22
被引用文献数
3 1

症例は35歳男性. 入院10カ月前から防風通聖散を服用していた. 入院3カ月前にはじめて肝機能異常が出現. 入院6週間前に近医受診, この時点で肝機能障害は増悪していたが, 5種の薬剤を新たに投与され, 防風通聖散はそのまま服用していた. 入院1週間前から黄疸・皮膚掻痒感が出現したため当院へ入院となった. 防風通聖散, および併用薬は入院前日まで服用していた. 入院時ALT 2996IU/<i>l</i>, AST 7174IU/<i>l</i>, T. Bil 15.1mg/d<i>l</i>, PT 30.6%であり, 第2病日肝性昏睡2度となったため劇症肝炎急性型と診断, 血漿交換および血液濾過透析とステロイドパルス療法を開始した. この結果意識清明となり肝機能も急速に改善したが, その後黄疸が遷延し, 肝機能は薬剤中止後4カ月に正常化した. 本症例ではもともと防風通聖散による薬物性肝障害が存在し, そこへ併用薬の影響が加わって最終的に劇症化に至ったものと考えられた.
著者
山本 博之
出版者
上智大学アジア文化研究所
雑誌
上智アジア学 (ISSN:02891417)
巻号頁・発行日
no.20, pp.359-382, 2002

<特集> ジャウィ文書研究の可能性(Study of Jawi Documents) 第3部 : ジャウィ入門の手引き(Part3:An Introductory Guide to Jawi)
著者
田中 弥 大沼 かおり 三瓶 真菜 佐々木 一謹 山本 博之
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P04, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
4

本プロジェクトでは、メタボローム解析においてしばしば問題となる未知化合物の構造推定に、2種の独立したアプローチで取り組んだ。一方は一般的に用いられるタンデム質量分析 (MS/MS) を用いた推定であり、もう一方は代謝に基づく発表者ら独自の推定である。これにより十種程度の未知化合物の同定に成功してきたが、それには一方の手法がより良い推定を示したものも、両方の手法にて有力候補となったものも含まれていた。置換基の位置のようにMS/MSでは得にくい情報も、前駆体探索により構造推定に取り組むことができた。一方で、前駆体探索が困難な構造の化合物では、MS/MS による推定がより有力であることが考えられる。独立した2手法を用いることでそれぞれが得意な推定対象を補完しあい、また両手法の結果の組み合わせからより精度の高い推定を導くことが可能となった。
著者
笹尾 和宏 高須 正和 関 治之 奈良部 隆行 山本 光穂 飯田 哲 山本 博之 栗原 一貴
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.324-329, 2013-09-27

本論文では,顔認識技術と集合知に基づき,主に月および火星表面から俗に「人面岩」とも言われる,人の顔の形をした構造物の探索について報告する.我々はBrightness Binary Feature をはじめとする複数の顔認識アルゴリズムを併用し,NASA が提供した膨大な月および火星表面の衛星画像から人面状構造物を検出した.さらに,検出した映像をユーザが鑑賞,レーティングし,質の良いものを抽出するアプリケーションを試作した.
著者
中井 真尚 山本 博之 種本 和雄 宮田 浩章 本村 昇
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.54-59, 2020-04-30 (Released:2020-06-11)
参考文献数
14

【背景】心臓手術後手術部位感染症(以下,SSI)は臨床成績に影響する。日本心臓手術データベース(Japan Cardiovascular Surgery Database:以下,JCVSD)データを利用しSSIの現状を検討した。【方法】JCVSDデータ中2013年〜17年胸骨切開下胸部心臓大血管手術253,159例を対象。Japanese Healthcare Associated Infections Surveillance(以下,JHAIS)に準じcoronary artery bypass graft with both chest and donor site incisions(以下,CBGB)72,513例,coronary artery bypass graft with chest incision only(以下,CBGC)28,579例,cardiac surgery(以下,CARD)152,067例に分類。SSIは深部胸骨感染,下肢創感染を集計。退院時転帰,90日以上の長期入院を検討した。【結果】深部胸骨感染発生率はCBGB1.9%,CBGC1.5%,CARD1.5%でCBGBに多い(P<0.001)。深部胸骨感染例の在院死亡は22.9%(非感染例5%,P<0.001)。深部胸骨感染症例の長期入院は20.8%(非感染例1.6%)であった。【結論】JCVSDを用いたSSIの検討では深部胸骨感染は1.5〜1.9%と比較的低い。しかし深部胸骨感染の生存率,入院日数に与える影響は大きい。
著者
山本 博之
出版者
田園調布学園大学
雑誌
田園調布学園大学紀要 = Bulletin of Den-En Chofu University (ISSN:18828205)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-36, 2016

1987(昭和62)年に社会福祉士及び介護福祉士法が制定され、社会福祉士の国家資格化が実現した。その流れを受けて、精神保健福祉士法が1997(平成9)年に制定され、精神保健福祉士の資格化がなされた。社会福祉士及び介護福祉士法制定から30年の年月が経過し、社会福祉士の活躍する場も当時のそれと比較しても格段に増すようになった。社会福祉士及び介護福祉士法はその後2007(平成19)年12月に改正され、その改正とともにソーシャルワーカー養成カリキュラムもその質及び量ともに大幅な見直しがなされて現在にいたっている。「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」(2015(平成27)年)や「ニッポン一億総活躍プラン」(2016(平成28)年)といった未来志向の福祉政策プランが提言されている。本稿において、わが国におけるソーシャルワーカー養成課程の歴史を踏まえつつ、北米のソーシャルワーカー養成課程を紹介しながらソーシャルワーカー養成の現状と今後の課題への提言を行う。
著者
山田 洋一 Antoine GIRARD 朝岡 秀人 山本 博之 社本 真一
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.401-406, 2008-07-10 (Released:2008-07-18)
参考文献数
29

Widely well-defined Si(110)-16×2 single-domain surface has been fabricated utilizing the electromigration of the surface atoms. Tuning the direction of the dc during resistive heating to that of the surface reconstruction row realizes an alignment of the rows in one direction producing a mm-wide single-domain of 16×2 structure. The fabricated single-domain shows number of useful characteristics such as a strong one-dimensionality and the surface homochirality, suggesting various applications.
著者
山本 博之 津川 裕司
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

メタボロミクスでは、化学構造が不明な未知ピークが疾患バイオマーカー候補となることがあり、未知ピークの構造推定を行うためのケモインフォマティクス手法が様々提案されている。本研究では、結合が切断するか否かを目的変数、インシリコフラグメンテーションによって得られた構造ペアのフィンガープリントから計算した特徴ベクトルを説明変数とし、正則化ロジスティック回帰を用いてフラグメンテーション予測を行った。
著者
山本 博之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.666-669, 2016-06-15

教科「情報」が始まって13年経つが,自治体が実施する授業に関する研修は十分ではない.そのため都高情研をはじめとした教科研究会はさまざまな研修活動を行い,情報科の研鑽と交流の場を提供してきた.次期学習指導要領において「情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力の育成」が掲げられ,プログラミングやデータサイエンス,情報セキュリティといった内容が強く押し出された.しかし,このような学習内容は,現状の情報科教員にとって指導するのが難しく,大規模な教員研修が必要になると言われている.教員研修については,国や自治体だけでは十分な体制を用意することはできないため,教科研究会や学会の協力が期待されている.
著者
押川 文子 村上 勇介 山本 博之 帯谷 知可 小森 宏美 田中 耕司 林 行夫 柳澤 雅之 篠原 拓嗣 臼杵 陽 大津留 智恵子 石井 正子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本科研は、複数地域を研究対象とする研究者による地域間比較や相互関連を重視したアプローチを用いることによって、グローバル化を経た世界各地の地域社会や政治の変容を実証的に検証し、それらが国内外を結ぶ格差の重層的構造によって結合されていること、その結果として加速するモビリティの拡大のなかで、人々が孤立する社会の「脆弱化」だけでなく、あらたなアイデンティティ形成や政治的結集を求める動きが各地で活性化していることを明らかにした。
著者
村上 勇介 狐崎 知己 細谷 広美 安原 毅 柳原 透 重冨 恵子 遅野井 茂雄 新木 秀和 幡谷 則子 二村 久則 山崎 圭一 新木 秀和 小森 宏美 後藤 雄介 佐野 誠 幡谷 則子 二村 久則 箕輪 真理 山本 博之 山崎 圭一 山脇 千賀子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

発展途上地域で最も早い時期から「民主化」と市場経済化を経験したラテンアメリカにおいて、近年、政治が最も不安定化しているアンデス諸国(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラの5ヶ国)に関し、現地調査を踏まえつつ、ポスト新自由主義の時代に突入したアンデス諸国の現代的位相を歴史経路や構造的条件を重視しながら解明したうえで、近年の動向や情勢を分析した。そして、5ヶ国を比較する研究を行い、対象国間の共通点と相違点を洗い出し、事例の相対化を図り比較分析の枠組を検討した。
著者
山本 博之
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究課題は、災害被災地に関する新聞記事、写真、聞き取り調査などの多様な情報を地理情報を用いて1枚の地図上で迅速かつ簡便に表現する「災害地域情報プラットフォーム」を構築するための基本的な制度設計を行うものである。2009年9月の西スマトラ地震では日本の緊急救助チームなどが被災地入りしたが、現場では被害と救援活動の全体像が見えずに効果的な救援活動が行えなかったとの声が聞かれた。被災の現場に入ると情報収集しにくいことに加え、英語による情報収集では得られる情報量に限りがあることなどの背景がある。本研究課題が構築している災害地域情報プラットフォームは、現地語のオンライン情報を収集して地図上で示すことで、被害と救援の状況を把握しやすくするものである。本研究課題が構築するプロトタイプをもとに、情報の収集および翻訳の自動化を行うことで、より簡便かつ迅速に災害地域情報の収集が可能になる。今年度は、昨年度公開した2009年西スマトラ地震の災害地域情報を用いたプロトタイプをもとに、(1)西スマトラ州の県・市、郡、村の地理情報の一覧を作成し、(2)インドネシア語の日刊紙『コンパス』から「地震」「津波」「災害」の3つのキーワードで記事を自動収集する巡回検索システムを作成し、(3)記事中の地名をもとにその記事を地図上で表現するシステムを追加した。これにより、西スマトラ州に関しては、上記の3つのキーワードに関連する記事を自動収集し、地図上で表現することが可能になった。この災害地域情報プラットフォームは、さらに、(1)対象範囲を西スマトラ州から他の地域にも拡大する、(2)対象紙を『コンパス』以外にも拡大する、(3)検索キーワードを増やす、(4)記事内容の自動翻訳機能を加えるなどの処理により実用性がさらに高まるものとなる。