著者
荻野 均 善甫 宣哉 松田 均 湊谷 謙司 東 信良 古森 公浩 大北 裕 本村 昇 志水 秀行 藤吉 俊毅
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

突然に発症し致死率の高い急性大動脈解離に関して、全国規模の診療データベースがなく、診療エビデンスも少ない。本研究においては、心臓血管外科に関する全国規模の悉皆性データベースであるNCD内のJCVSDと血管外科データベースに期間限定で追加項目を設定し、さらにステントグラフト実施基準管理委員会のデータも加え、急性大動脈解離の外科治療に特化したデータベースを作成し外科診療の実態を把握する。重篤かつ致死的な急性大動脈解離の克服のための全国規模の網羅的診療基盤データとして初めての試みであり、「脳卒中・循環器対策基本法」の対象疾患である急性大動脈解離の救急診療体制作りの基礎データとして有用と考える.
著者
中井 真尚 山本 博之 種本 和雄 宮田 浩章 本村 昇
出版者
一般社団法人 日本外科感染症学会
雑誌
日本外科感染症学会雑誌 (ISSN:13495755)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.54-59, 2020-04-30 (Released:2020-06-11)
参考文献数
14

【背景】心臓手術後手術部位感染症(以下,SSI)は臨床成績に影響する。日本心臓手術データベース(Japan Cardiovascular Surgery Database:以下,JCVSD)データを利用しSSIの現状を検討した。【方法】JCVSDデータ中2013年〜17年胸骨切開下胸部心臓大血管手術253,159例を対象。Japanese Healthcare Associated Infections Surveillance(以下,JHAIS)に準じcoronary artery bypass graft with both chest and donor site incisions(以下,CBGB)72,513例,coronary artery bypass graft with chest incision only(以下,CBGC)28,579例,cardiac surgery(以下,CARD)152,067例に分類。SSIは深部胸骨感染,下肢創感染を集計。退院時転帰,90日以上の長期入院を検討した。【結果】深部胸骨感染発生率はCBGB1.9%,CBGC1.5%,CARD1.5%でCBGBに多い(P<0.001)。深部胸骨感染例の在院死亡は22.9%(非感染例5%,P<0.001)。深部胸骨感染症例の長期入院は20.8%(非感染例1.6%)であった。【結論】JCVSDを用いたSSIの検討では深部胸骨感染は1.5〜1.9%と比較的低い。しかし深部胸骨感染の生存率,入院日数に与える影響は大きい。
著者
村上 新 北堀 和男 本村 昇 宮田 祐彰 高本 眞一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

JCCVSD(日本先天性心臓血管外科手術データベース)は2008年8月にweb-base登録を開始、2011年3月時点で参加施設数(希望を含む)は98施設、累積登録手術件数は1,1000件に達し、国内の主要施設はほぼ全て参加し、national databaseと評価されるまでに急速に成長した。医療の質向上に資する目的で、2008年~2009年に登録されたデータを解析しリスクモデルを作成、これに基づきrisk-adjustmentを行ったbench-mark reportを、2011年2月に千葉で開催された第41回日本心臓血管外科学会において、初期参加25施設に手渡し配布した。今後も同様のreportの配布を続けて行く予定である。2011年から、日本小児循環器インターベンション学会、以下JPIC、と日本成人先天性心疾患学会、以下JSACHDが、JCCVSDと同一のインターネット環境を用いたデータベース構築を希望し、現在準備を進めている。JCCVSD-JPIC-JSACHD DBの構築は、小児循環器領域の横断的・網羅的解析を可能とする世界初の試みを可能とする。また、対象の多くが小児であることより、フォロー・アップDB、或いはpatient identifierを用いた施設間医療情報の提供を視野に置いており、今後展開を予定する。