著者
鈴木 和香子 中垣 紀子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.68-73, 2016

<p> 特別支援学校で医療的ケアを受けている児童生徒の父親2名、母親7名を対象とし、医療的ケアの現状について思うことを明らかにし、その現状から課題を考察することを目的に質的記述的研究を行った。結果、【養育者の負担が大きいと思う】、【教員との信頼関係が重要だと感じる】、【教員の医療的ケア実施の負担が大きく心配である】、【教員が医療的ケアを拒否しているように感じる】、【学校側との相互理解ができていないと感じる】、【個別性を配慮した医療的ケアをしてほしい】、【医療的ケア制度の改善を検討してほしい】、【教育を受ける権利を尊重してほしい】の8カテゴリーが抽出された。</p><p> 養育者の視点での医療的ケアの課題には、養育者の負担、教員に対する信頼と不安の葛藤、養育者と学校間の相互理解不足、児童生徒の個別性に対応可能な医療的ケア制度の不足、特別支援学校の看護師の役割の不確定さが存在すると考えられた。</p>
著者
中垣 紀子 川井 みつ子 神道 那実
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-40, 2007-03

近年、医療技術の進歩や医療機器の開発に伴い、周産期に亡くなる子どもの数は減少し、反面疾患により障害をもちながら成長し、学童期に達する子どもの数が増加している。本研究では、障害をもつ子どもがよりよい学校生活を送るために、養護学校と医療者や地域それぞれの役割と連携のあり方を検討する前段階として、養護学校における医療的ケアについての動向を概観した。その結果、以下の動向が明らかになった。1.かつては、障害をもつ子どもの教育において、就学猶予免除により医療的ケアが必要とされる障害をもつ子どもへの教育が大きく制約されていた。2.1979年、国は養護学校の義務制を実施したが、医療的ケアが必要な子どもを無理に通学させるのは危険であり、訪問教育にすべきであるという考え方が、教育・医療の中心であった。3.1980年代に普及したインクルージョン(共生)の概念は、生活年齢に相応する普通教育の環境を保障することに大きく影響した。4.看護師配置前は、医療的ケアが必要な子どもの通学は可能であるが、そのケアは家族が付き添い、実施することが条件であった。5.2003年以降、文部科学省と厚生労働省が連携して非常勤の看護師を配置するモデル事業を実施し、教育・医療・福祉における協力体制で整備しつつある。
著者
中垣 紀子 豊田 恭徳
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.5-11, 2005-03

本研究は、わが国における神経芽腫マススクリーニングにより、受診者は健康上の利益を得る可能性があるか、さらに得られる利益が損失を上回っているか、利益は費用を正当化できるかの医療経済的評価をすることを目的とした。1990年4月から1999年4月までに神経芽腫マススクリーニングを受診し、その後、首都圏のA小児専門病院を受診し生存している神経芽腫の小児67名とその両親を対象とした。医療費に関連するデータから、直接費、間接費などのパラメータを導入した分析を用い、個々および病期別に医療費を算出した。予後不良とされてはいるが神経芽腫マススクリーニングによって早期発見され治療を受けることにより、生存率が高いとみなされた進行例III期の場合の1人当たりの医療費(III期の小児を1人救命するための医療費)を推計した。この神経芽腫マススクリーニングの費用便益分析は、III期症例が神経芽腫マススクリーニングを受けることによって生存し得られる収入をシミュレーション結果によるサラリーマンの生涯収入合計3.1億円と仮定して分析をした。その結果、III期症例が神経芽腫マススクリーニングを受けることによって生存し得られる便益は、1人当たり1.6億円であった。しかし、この便益は、神経芽腫マススクリーニングをしなかった場合の節減される医療費34億円の経済的損失の上に成立しているとみなされた。