著者
神道 那実 浅野 みどり
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.9-16, 2007-09-20
被引用文献数
1

本研究の目的は、小児血液疾患の治療に伴って必要となる療養行動において、患児がどのような自主性を発揮しているのか、また病状説明と親の関わりが自主性にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることであった。対象は、小児血液疾患をもつ入院中の10〜14歳の患児とその親4組であり、質問紙および半構成面接を行った。その結果、患児は療養行動に対して否定的感情を抱きながらも個々の理解に応じた自主性を発揮していた。内服では多くの自主性が見られたのに対し、含嗽では不十分であり、自主性が体調や血液データ、過去の経験、必要性の理解度に影響を受けていることが明らかとなった。病状説明においては、すべての患児が希望通りに病状説明を受けていたことが自主性の促進因子となっていたが、入院初期の説明内容は3事例が覚えていなかった。また、患児の意思や行動を尊重した親の関わりが自主性を促進していることが示唆された。
著者
中垣 紀子 川井 みつ子 神道 那実
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-40, 2007-03

近年、医療技術の進歩や医療機器の開発に伴い、周産期に亡くなる子どもの数は減少し、反面疾患により障害をもちながら成長し、学童期に達する子どもの数が増加している。本研究では、障害をもつ子どもがよりよい学校生活を送るために、養護学校と医療者や地域それぞれの役割と連携のあり方を検討する前段階として、養護学校における医療的ケアについての動向を概観した。その結果、以下の動向が明らかになった。1.かつては、障害をもつ子どもの教育において、就学猶予免除により医療的ケアが必要とされる障害をもつ子どもへの教育が大きく制約されていた。2.1979年、国は養護学校の義務制を実施したが、医療的ケアが必要な子どもを無理に通学させるのは危険であり、訪問教育にすべきであるという考え方が、教育・医療の中心であった。3.1980年代に普及したインクルージョン(共生)の概念は、生活年齢に相応する普通教育の環境を保障することに大きく影響した。4.看護師配置前は、医療的ケアが必要な子どもの通学は可能であるが、そのケアは家族が付き添い、実施することが条件であった。5.2003年以降、文部科学省と厚生労働省が連携して非常勤の看護師を配置するモデル事業を実施し、教育・医療・福祉における協力体制で整備しつつある。