著者
勝見 直行 高砂 健 武田 優季 中西 政則
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.71, pp.63-64, 2018-12

山形県の主要農産物であるオウトウは加工品としての利用も多く、その一つに飲料があげられる。しかし、オウトウの飲料は風味が弱く、特徴が少ないという課題がある。一方、アンズの仁(杏仁)などには、甘い香り成分のベンズアルデヒドが含有されており、同じバラ科のオウトウにも含まれることが期待される。そこで、本研究ではオウトウ飲料の風味増強技術の開発を目的とし、オウトウ中の風味因子の探索、飲料加工方法について検討した。
著者
中場勝
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.29-30, 2000-12
被引用文献数
2

1999年の山形県最上地域における水稲の作柄は、統計情報事務所発表の作況指数が107の「良」となった。これは、生育期間を通し高温の気象で経過したため、出穂期が早く、しかもいもち病や障害不稔等の被害がなかった等による。一方、産米の品質は劣り、食糧事務所の検査では、1等米比率は58.1%と低かった。1等米になれなかった格付け理由は、カメムシによるとみられる部分着色粒と心白粒が多かったことである。特に当地域で作付け比率が高いあきたこまちで多かった。部分着色粒の増加は、①カメムシの発生が多かったこと、②水稲の出穂が早かったことによるものと考えられるが、さらに割れ籾の発生が多くみられることから、これを助長したものと推察された。そこで、あきたこまちの割れ籾と部分着色粒の発生実態について、調査したので報告する。
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.265-266, 2005-12

9月以降に収穫する晩生品種の枝豆に対し、産地は盛夏期の枝豆よりも食味、食感ともに優っていると評価している。しかし、本報告に先立ち実施した調査によれば、首都圏在住の消費者は9月以降に販売されている枝豆に対し、「夏の残り物」というマイナスイメージを購入前から持っている。こうした産地と消費者間の意識の乖離は、産地による「美味しい事実・理由」の説明が不十分であることも、その一因として考えられる。そのため産地側は、この"意識の乖離"を理解した上で、マーケティング対応を検討することが求められる。本報告は、「ホームユーステスト(in-home use test)」により、9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識を明らかにし、県産枝豆のマーケティング対応の方向性を検討する。具体的には、(1)9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識の把握、(2)9月以降に販売される枝豆の訴求ポイントの検討、である。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.11-12, 2005-12

浜通りでは1〜3月に異常乾燥注意報が続くほど湿度が低く水稲籾水分が低下する。また、直播の出芽向上を目的に休眠打破のため、通風乾燥処理やビニールハウス保存を行うと、処理により籾水分が低下する。この籾を塩水比重1.13により選別すると良籾の回収率が低下する。そこで、水稲籾水分が15%から変化した場合でも、塩水比重1.13で塩水選した時と同じ結果が得られる塩水比重について検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.59, pp.7-8, 2006-12

直播栽培は、農業の担い手不足及び輸入米との競合などを背景に省力・低コストの生産技術として期待され栽培面積が増加している。直播栽培を安定化させ、普及促進を図るには直播適性品種の利用が有効であるが、東北地域では、良質・良食味で耐倒伏性が強い多収の直播栽培用品種がない。そこで、収量を落とすことなく省力的に良質・良食味米の生産が可能な東北地域向け直播栽培適性品種「萌えみのり」を育成し、命名登録を行ったので(水稲農林416号)、ここに本品種の主要特性を紹介する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.275-276, 2003-12

2000年度から実施された「水田農業経営確立対策」により国内の大豆面積と生産量は急増したが、作付けする農家側の意識は「水田転作にすることで高額助成金が支払われる」といったことが目的となって、収穫物から収益を得るといった意識が低いケースが多く見受けられる。播種作業は行うものの管理作業を手抜きし、雑草畑となって収穫作業まで達しない「転作消化の作付」が大豆の本作化にブレーキをかけている。「誰のため、何のための大豆栽培か」を農家が再認識するためにも、原料生産にとどまらず加工販売までを含めて地域全体が取り組み、高付加価値販売による所得確保と利用安定により大豆栽培を定着させる必要がある。そこで、秋田県内の広域JA(農業協同組合)が2000年から大豆生産と加工販売の一貫体制に取り組んだ事例を整理し、地域大豆生産組合の支援方向と商品開発に際しての要点、販売開始以降の利点について明らかにし、大豆生産と加工販売の定着に向けたモデルの提示を行う。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.27-28, 2005-12

2004年は気象変動が極めて大きく、特に山形県庄内地域では台風15号による潮風害という特異的な気象災害が発生した。この台風は8月20日早朝に山形県に最も接近し、(1)勢力が強く、(2)暴風域が広く、(3)通過速度が遅く、(4)風台風であったことが特徴である。さらに、その後も2つの台風(16号:8月31日、18号:9月8日)が襲来した。このため、庄内地域の水稲の作況指数は「87」と大幅に低下し、酒田地域では1等米比率も低下した。庄内支場の水稲作況解析調査、生産力検定本試験及び系統適応性検定試験(酒田市)においても、品種並びに試験場所間で収量・品質に違いが認められたので報告する。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.191-192, 2003-12

岩手県の主要野菜である雨よけほうれんそう栽培では、土づくりとしてたい肥等の有機物施用が一般的となっている。しかし、土壌養分の過剰蓄積が起こりやすい施設野菜栽培土壌では、たい肥施用が土壌養分の動態や作物に与える影響について、不明な点が多い。そこで、本試験では、岩手県に多量に存在するオガクズ牛ふんたい肥(以下、たい肥)を雨よけほうれんそうに4年間連用し、たい肥の効果を検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.53, pp.225-226, 2000-12

二度切り栽培(抑制栽培無加温据え置き)におけるオリエンタルハイブリッドユリの開花調節は難しく、季咲き時期に出荷ピークが集中し価格変動が大きい。また、岩手では季咲きの出荷時期は7月から8月上旬であり、特に8月上旬出荷のユリは、1~2週間程度の短期間貯蔵ができれば、お盆需要に向けることができ、高価格取引が見込まれる。そこで、生産者が有利な販売ができるように、品質を高く保持したまま、出荷調整を可能とする短期貯蔵法を開発した。
著者
澤里 昭寿 荒川 梢 佐々木 丈夫 山村 真弓
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.62, pp.141-142, 2009-12

タルディーボはキク科キクニガナ属、レッドチコリー品種群のうちの細葉・不結球タイプの系統である。タルディーボは株養成と軟白処理の2段階の過程を経て生産され、赤と白の鮮やかな色彩はレッドチコリーの中でも評価が高く、イタリアでは冬の高級野菜として扱われるが、日本国内でまとまった生産はほとんど行われていない。本研究では、宮城県内におけるタルディーボの播種時期と軟白処理時期が生産に及ぼす影響について検討した。
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.265-266, 2003-12

サルナシ(コクワ)は、県内の中山間地で栽培されており、主にワイン、一部でジャムやペーストに加工されている。独特の「いがらみ」を有し、このことが消費が拡大しない原因にもなっており、果実の特性を生かしつつ「いがらみ」を克服する加工法を開発することが望まれている。ペクチン分解酵素(ペクチナーゼ)を使ったサルナシジュースの試作を行なったところ、上清みの清澄果汁にはいがらみがあまり感じられないことがわかった。そこで、搾汁率を向上させる方法、搾汁方法の違いによる飲料の品質、嗜好性の違い、またサイクロデキストリン添加による嗜好性の向上効果について検討した。
著者
野沢 智裕
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.31-32, 2008-12

大豆跡復元田を利用した水稲不耕起V溝直播の除草剤体系。水稲不耕起V溝直播は、愛知県農業総合試験場が開発した水稲直播技術であり、冬季代かきを前提とした栽培体系により、従来の水稲直播技術に比べて、栽培安定性が高く、移植栽培と同等の収量、品質を得ることができるとされる。この技術に魅力を感じた筆者は、積雪寒冷地では冬季代かきの実施が困難であると考え、代かきを省略した技術体系の実用化に向けて2005年から試験を実施してきた。これまでの試験から、大豆跡復元田においては、大豆収穫後積雪前までの期間にロータリ耕による整地を行うことで消雪後に固結し、播種前の代かきを省略しても実用的な播種が可能になること、播種量を8kg/10a程度とし、窒素成分で2kg/10aの施肥を苗立ち期に行うことにより移植並の収量が得られることなど、積雪寒冷地での実用化に目処が付いた。しかし、慣行の除草剤体系(一発剤→クリンチャーバスME液剤の体系処理)では雑草の防除効果が不十分であるという問題が残された。この問題を解決するため、愛知県が確立した除草剤体系を含む4種類の除草剤体系の比較を行ったので、その結果を報告する。
著者
中里 崇 川村 浩美
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.63, pp.163-164, 2010-12

岩手県では、鉢物リンドウ品種として栄養繁殖性品種「ももこりん」、「あおこりん」と種子繁殖性品種「いわて乙女」の3品種を育成してきたが、生産者からは更なる品種の拡大が望まれている。岩手県農業研究センターでは1999年から交雑育種による品種育成に取り組み、栄養繁殖性の鉢物リンドウ品種「ももずきんちゃん」を育成した。ここでは、その育成経過や品種特性について報告する。
著者
佐藤 妙子 沼 玲子 阿部 正彦 酒井 隆
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.72, pp.53-54, 2019-12

鶏ムネ肉に多く含まれるイミダゾールジペプチドは、運動能力の向上や疲労回復効果により機能性成分として注目されている。また、核酸関連物質のイノシン酸は、鰹出汁のうまみ成分として知られている。そこで、福島県産市販鶏ムネ肉の流通促進を目的として、鶏節を想定した乾燥品を試作し、鶏ムネ肉の機能性成分とうまみ成分を測定した。
著者
奥平 麻里子 鈴木 哲 小野田 和夫
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.56, pp.143-144, 2003-12

岩手県で栽培されているリンゴ品種は、晩生種に偏重した構成となっている。また、早生種収穫以降及び中生種収穫前の9月下旬に収穫できる優良品種が無いことから、この時期に収穫できる品種の開発が望まれていた。さらに、県北部及び高標高地帯ではジョナゴールドやふじの熟期が遅れることから、中・晩生の優良品種開発への期待は大きい。そこで、品質及び栽培特性に優れた中・晩生の岩手オリジナルリンゴ品種の育成を目標とし、交雑育種並びに選抜を行った結果、9月下旬に成熟する黄色品種を獲得したので報告する。
著者
内野 彰 山口 誠之
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.39-40, 2005-12

ジクワット・パラコート混合剤は非選択性除草剤として市販される除草剤であり、水稲作では秋期稲刈り取り後や春期耕起直前などの雑草防除に使用される。パラコート単剤およびジクワット・パラコート混合剤については、従来の茎葉処理剤として雑草を枯殺する効果に加え、種子処理により種子の幼芽・幼根の伸長を抑制する効果のあることがイネや数種の雑草で報告されている。このことから、こぼれ籾発芽防止や雑草イネの防除への応用試験が行われ、雑草発生抑制効果の実用性についても検討されている。本試験では、こうした効果の積雪寒冷地での実用性を検討するため、ノビエ種子への効果を積雪前秋期処理と融雪後春期処理で比較し、水稲種子への効果を処理後土中に保存した場合と処理後土壌表面に保存した場合で比較した。
著者
山崎 篤 山本 岳彦 松尾 健太郎
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.68, pp.123-124, 2015-12

食生活の変化により、野菜の中で加工・業務用途が急激に増大してきたなかで、水田を主体とする土地利用型農業の収益改善にも寄与するものとして、加工・業務用野菜を水田で作ろうという取り組みが活発になってきた。水田転作品目として、機械化一貫体系が構築されていて大規模でも取り組みやすいタマネギが選択される事例は多い。しかし、特に日本海沿岸の積雪地帯において10a当たり収量が2.0t以下と全国平均の半分以下となるなど、これまで慣行的に行われてきた秋まき栽培が非常に生産性が低いため、水田農業の比重が大きいにもかかわらず東北地域においては選択しづらい品目であった。そこで、生産性の低さの原因と推察される冬の寒さや積雪を回避できる栽培方法として、これら地域における春まき作型の開発に向けて研究を進めている。ところで、収穫までの間に展開するタマネギの葉は、主に形態的な特徴から、普通葉(+保護葉)、肥厚葉、貯蔵葉、萌芽葉に分けられる。これらの葉の構成は、早晩性や収量に大きく影響するものと考えられる。特に本圃での生育期間が短くなる春まき栽培ではこの点が重要となる。そこで、本研究では、2012~2014年の3か年におけるこれらの葉の構成に及ぼす播種時期(2/14、2/28、3/14)の影響およびその年次変動について、いくつかの品種を用いて調査した。
著者
上田 賢悦 清野 誠喜 齋藤 了
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.58, pp.265-266, 2005-12

9月以降に収穫する晩生品種の枝豆に対し、産地は盛夏期の枝豆よりも食味、食感ともに優っていると評価している。しかし、本報告に先立ち実施した調査によれば、首都圏在住の消費者は9月以降に販売されている枝豆に対し、「夏の残り物」というマイナスイメージを購入前から持っている。こうした産地と消費者間の意識の乖離は、産地による「美味しい事実・理由」の説明が不十分であることも、その一因として考えられる。そのため産地側は、この"意識の乖離"を理解した上で、マーケティング対応を検討することが求められる。本報告は、「ホームユーステスト(in-home use test)」により、9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識を明らかにし、県産枝豆のマーケティング対応の方向性を検討する。具体的には、(1)9月以降に販売される枝豆に対する消費者意識の把握、(2)9月以降に販売される枝豆の訴求ポイントの検討、である。
著者
齋藤 文信 田口 淳一 清野 誠喜
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.61, pp.225-226, 2008-12

転作菜種を基幹とする菜種油の販売に向けた消費者調査。ホームユーステストによる調査。秋田県では、水田転作の推進や遊休農地解消を目的として菜種作付を進めている。そこで栽培された菜種から食用油を製造(搾油)、食用油として使用後その廃食油からバイオディーゼル燃料を製造し、自動車や農業機械の燃料に使う構想を提案している。しかし、国産菜種を原料とした菜種油の割合は原油生産量ベースで0.09%(「我が国の油脂事情2005年」)と極めて少ないことから、国産菜種油の商品流通量は少量であり、商品として認知されているとは言い難い。また、消費者の食用油購入に関する研究は美味しさや機能性に関する研究が中心で、価格帯や原料産地・油分抽出法の違いに関する評価を分析した研究は十分に行われていない。そこで、本研究では消費者の食用油購買状況や秋田県産菜種を原料とした菜種油の評価について価格帯を中心に把握することを目的とする。