著者
中尾 佳行 地村 彰之 佐藤 健一 大野 英志
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

話法の研究は、近代の小説が中心的に行われ、その発達過程の調査は少ない。中世の韻文は殆ど扱われず、特に意味論では、Fludernik (1993, 1996)やMoore (2015)により部分的な検証がある程度で、チョーサーでの体系立てた調査は殆どなされていない。話法の設定の切り替えは、多くの場合その言語の意味を変容させ、話法は本質的に意味論の問題である。本研究では、話法を意味付けるタグを精緻化し、そのタグを多様な社会層の巡礼者が話をし、話法の多様性が見られる『カンタベリー物語』、これまでの研究で作成した電子化された4テクスト、Hg, El写本及び刊本に付加し、話法の意味論コーパスを構築する。
著者
金丸 純二 木本 一成 中尾 佳行 畑 浩人
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.37, pp.417-422, 2008

本年度は昨年度までの質問票調査の結果をさらに詳細に把握して, 生徒指導モデルの形成に充分な事実データを収集するために附属中学校卒業生に対する面接調査を試みている。平等な取扱いの志向などいくつかの特徴を発見しつつあるものの, まだ聴取データが量的・質的に集積していないため, 今回の報告では質問票の記述回答部分を紹介する。総じて, 附属学園内にも一定の逸脱行動(容貌の乱れ, いじめ)は見受けられるが, 他校の方が規模も大きいので荒れの程度は大きかったようである。しかし, 1990年代後半の時期には附属学園でも荒れの程度が高まっており(学内喫煙, 破壊行動), 授業にもよくない影響が及んでいたようである。それが周囲の少年一般と同等なレベルであったのか, つまり当時流行していた非行化に包含されるものであったかのかどうかはさらに検証の必要があろう。生活指導態勢の変化については, 一貫して厳格な教員が少数存在するものの, 教員組織全体としては転属もあるためか, 1990年代前半に変化(教員との見解不一致)があったような印象が残る。また, 団結や仲良しの指摘は小規模学校固有の特徴であろうが, 必ずしも一枚岩ではなかったようである。