著者
八幡 聖人 高山 大貴 中尾 彰文 山本 秀一 吉田 登
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.II_299-II_310, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
29

本研究では,下水汚泥焼却炉が更新時期を迎える様々な規模の都市に対して,自立的なエネルギー回収(汚泥廃熱発電)と連携によるエネルギー回収(ごみ混焼発電)のどちらが得策であるかを,イニシャル・ランニングを合わせたトータルコストの費用構造を評価するモデルを構築し分析を行った.分析の結果,双方のエネルギー回収技術とも従来の汚泥焼却に比べて事業性において優位な技術であることが示された.また都市規模が3万人を上回る場合,自立的エネルギー回収が得策であることが明らかとなった.一方,この分析結果は汚泥の集約処理がなされていることを前提としており,分散された複数の汚泥焼却炉を有する都市の場合には,連携によるエネルギー回収が得策となる可能性に留意する必要がある.
著者
荒木 浩太朗 中尾 彰文 山本 祐吾 吉田 登 中久保 豊彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.II_245-II_256, 2017 (Released:2018-04-01)
参考文献数
39
被引用文献数
2

本研究では,将来産業動向を見据えたうえで,全国規模での下水処理施設と産業工場,ごみ焼却場との連携によるGHG削減効果およびその要因について分析した.まず,下水処理施設における未利用汚泥量,産業工場における下水汚泥燃料の受入可能な容量,およびごみ焼却場での下水汚泥由来エネルギーの受入可能量を把握する.次に下水汚泥燃料化技術ごとにGHG収支を把握し,下水汚泥燃料を産業工場やごみ焼却場への配分ルールを設定し,GHG削減効果を分析した.その結果,2020~2030年において未利用汚泥の87.3%がエネルギー活用可能であり,最大GHG削減効果は3,320 [千t-CO2]と推計された.製紙工場の供給達成率は約73%であった.また,産業工場の将来動向の変化や製紙工場での汚泥燃料混焼率の変化に伴う,各業種のGHG削減効果への影響を明らかにした.