著者
古川 聖太郎 楢崎 肇 中山 智英 市村 龍之助 岡村 圭祐 藤田 美芳 森田 高行 平野 聡
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.608-616, 2016-07-01 (Released:2016-07-23)
参考文献数
36
被引用文献数
1

症例は消化管ポリポーシスの家族歴のない54歳の女性で,36歳時の上部消化管内視鏡検査で初めて胃ポリープを指摘された.それ以降,胃十二指腸ポリープが出現,増大した.徐々に貧血と低蛋白血症が進行し,薬物療法が奏効せず,54歳時に手術が必要と判断した.病変は噴門部から十二指腸下行脚まで連続して存在し,空腸以下に病変を認めないため,胃全摘,十二指腸球部切除術を施行した.摘出標本では大小多数のポリープが集簇し,組織学的にCronkhite-Canada型と診断した.十二指腸に小ポリープが遺残したが,速やかに症状は改善し,術後3年6か月現在,症状は再燃していない.一般に薬物療法によるポリポーシスの根治は困難で,有症状例には外科手術が有効な症例もある.ポリープに悪性所見を認めない場合,全ての粗大ポリープを含む可及的小範囲の切除とし,術後は症状再燃に注意し,厳重経過観察することも選択肢の一つとなりうる.
著者
中山 智英 長谷川 直人 小西 和哉 阿部島 滋樹 市村 龍之助 金古 裕之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.2101-2104, 2006-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

症例は3歳,男児. 2005年8月6日午後7時20分,自宅で玩具にて遊んでいる際,単5乾電池2個にて動いていた玩具の電池カバーがはずれており,そのうち1個を飲み込んだのを母親が目撃した.同日7時30分に当院救急外来を受診.救急外来到着時,呼吸苦や腹部症状はみられなかったが,腹部単純X線写真にて上腹部に誤飲した乾電池と思われる1×3cm大の陰影を確認.母親からの病歴聴取とあわせ乾電池の誤飲と診断した.透視下造影検査を行ったところ上部小腸まで乾電池が進んでいたため,緊急手術を施行した.下腹部正中切開にて開腹し,直視下に小腸まで進んでいた乾電池を確認.用手的に回盲部まで進め,虫垂切除術を施行し,虫垂切除断端より乾電池を摘出した.小児の筒型乾電池誤飲症例は報告が少なく,治療法も確立されていない.われわれは小児の筒型乾電池誤飲症例に対し,虫垂切除術を施行し摘出しえた1例を経験したので報告する.