著者
中岡 千幸 兒玉 憲一 高田 純
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.11, pp.215-224, 2011

本研究の目的は,援助要請不安,援助要請期待,悩みの程度および援助要請意図の関連を共分散構造分析を用いて,定量的・構造的に明らかにすることであった。悩みの存在が,援助要請不安および援助要請期待に影響を及ぼし,さらに,その2変数が援助要請意図に影響を及ぼすと仮定するモデルを構成し,共分散構造分析による解析を行った。その結果,援助要請不安と援助要請意図との間に直接の関連は見られず,悩みの存在が,援助要請意図に影響を及ぼしていること,悩みの存在が,援助要請期待を誘発し,援助要請意図に影響を及ぼしていること,援助要請不安は,援助要請期待を介して,援助要請意図に影響を及ぼしていることが示唆された。これらの結果から,援助要請期待を高める心理教育が,サービスギャップ克服のために有効であることが示された。