著者
高田 純 田中 憲一
出版者
札幌医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

前歯からのベータ線計数による骨格のストロンチウムを中心とした、内部被曝線量のその場評価の研究を行った。本研究は、代表者のこれまでの海外核ハザード地域での調査から開発した方法にもとづいている。3年間の実施期間では、核爆発災害のあった楼蘭遺跡周辺のウイグル地域からの在日外国人、韓国人留学生による、日本人の前歯ベータ線計測を行い、結果を、その場で、被験者に説明した。今回の結果は、全員が、検出限界以下のレベルであった。放射線被曝の線量と健康影響を、一般人に理解されやすいように、説明資料を3種作成した。さらに、「ソ連の核兵器開発に学ぶ射線防護」の図書を作成し、刊行した。これらの資料を活用し、国内外でセミナーを行った。2011年3月に福島で発生した核放射線災害に対して、内部被曝その場調査が、実施された。この調査は、福島県民の低線量を効率よく明らかにし、直ぐに、図書「福島嘘と真実」を出版することができた。
著者
星 正治 山本 政儀 遠藤 暁 高田 純 吉川 勲
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

セミパラチンスク核実験場近郊住民の被曝の影響調査に関して、文部科学省の科学研究費補助金で平成7年度より継続した研究を行ってきた。本研究は平成13年度と14年度にわたって行われた研究である。この研究は平成6年に原医研が改組されその際に研究テーマの一環として組み込まれ、その後平成14年度の改組においても引き続き推進することが認められた。セミパラチンスクでの被曝の特徴は、1.外部と内部被曝をほぼ半分ずつ含むこと、2.線量的にドロン村で1Gyと大きいこと、それから3.数週間から数ヶ月の低線量率被曝であることである。今回の調査では、従来通り、プルトニウム、セシウムなどの土壌汚染の測定、人体の骨や臓器の汚染、人の歯を使った外部被曝線量評価、煉瓦を使った外部被曝線量評価のうち相互比較を進めるための準備を進めてきた。これらから、たとえばドロン村では1Gy相当の被曝があったことを証明した。また人体影響の調査も進め、甲状腺の検診、血液中の甲状腺ホルモンの測定、血液の染色体異常の検出、個人被曝線量の評価のための準備なども進めた。甲状腺の検診では放射線の感受性があるとされている結節を多く検診し、リンパ球については小核と染色体異常を観察している。また平成14年9月にはセミパラチンスクで開催された放射線量評価の国際会議を開催したことが特筆される。主催はセミパラチンスクの放射線医学環境研究所と医学アカデミーであり、ドイツ、ロシア、イギリス、フィンランド、アメリカ、インドなどの代表が参加した。広島大学は会議を主導し、従来の被曝線量評価があまりにも違いが大きいのでこれを国際的に解決する目標を提案し承認された。放射線被曝の線量評価は疫学調査と合わせて低線量率被曝のリスクを求めることにある。したがってこの直接的にリスクに影響する。
著者
高田 純 森 祐二 遠藤 暁 星 正治
巻号頁・発行日
1998 (Released:1999-04-01)

本研究では、ポータブルスペクトロメータを用いて体内放射能Cs-137および内部被曝線量を迅速にその場評価する方法を開発することを目的とする。このポータブルホールボディーカウンターの開発により、世界のいかなる地域の緊急時対応や、装置の無い地域でも人体放射能汚染の迅速な調査が可能になる。この試みはこれまでになされていない方法であり、土壌、食品そして人体放射能汚染の食物連鎖の調査をこのひとつの検出器で行える特徴がある。直径76.2mm長さ76.2mmのNaI(T1)シンチレーター検出器を製作し、小型マルチチャンネルアナライザー、ノート型コンピューターからなるポータブルホールボディーカウンターの開発に取り組んだ。この検出器を、放射線医学総合研究所のCs-137人体ファントムおよびI-131模擬甲状腺ファントムを利用して、校正した。国内機関におけるCs-137全身量測定の相互比較の結果、バイアスは10%以内と良好であった。ビキニ水爆により汚染したロンゲラップ島の再建工事に従事する労働者、チェルノブイリ原発事故で汚染したベラルーシ・ホイニキライオンの甲状腺ガンになった住民、ロシア・チェリャビンスクの原爆プルトニウム製造施設マヤーク周辺核汚染地に暮らす住民等の体内放射能測定を実施し、本測定システムの試験を行なった。これらにより汚染地のバックグラウンドスペクトルの差し引きなど重要な方法を確立できた。地表、食品などの環境核汚染密度も、本器で測定でき迅速にその場解析ができることを実証した。これらにより、汚染地に暮らす住民へ結果を効果的に知らせることも可能となり、当初の目的を達成できた。
著者
加藤 泰史 青山 治城 入江 幸男 大橋 容一郎 篠澤 和久 直江 清隆 舟場 保之 別所 良美 松井 佳子 松田 純 宮島 光志 山内 廣隆 山田 秀 高田 純 RIESSLAND Andreas
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究の研究成果としては、(1)現代価値論の観点から「尊厳」概念を絶対的価値として基礎づけることの可能性と重要性が明らかになったこと、(2)ドイツの「人間の尊厳」理解として義務論的なハーバマスにせよ(人間の尊厳/人間の生命の尊厳)、功利主義的なビルンバッハーにしても(規範的に強い意味での尊厳/規範的に弱い意味での尊厳)、「尊厳」概念は二重構造を持っており、それが一般的に妥当性を持つとして広く受け入れられていること、しかしまた同時に(3)ドイツの「尊厳」理解において身体性を重視する議論が新たに提示され始めており、この点で従来のパラダイムが転換する可能性があること、それに対して(4)日本の「尊厳」概念史がほとんど研究されていないことが判明し、本研究でも研究の一環としてそれに取り組み、一定程度明らかになったが、その根柢には「生命の尊厳」という理解が成立しており、それはきわめて密接に身体性と関連していて、この点で(3)の論点と哲学的に関連づけることが可能であり今後の重要な哲学的課題になること、(5)「人間の尊厳」概念から「人権」概念を基礎づけることの重要性が明らかになったこと、(6)近代ヨーロッパの「尊厳」概念成立に際してヨーロッパの外部からの影響が考えられうることなどを指摘できる。これらの研究成果は、まずは『ドイツ応用倫理学研究』に掲載して公表したが(第2号まで公刊済み)、第一年度の平成19年度以降各年度に開催されたワークショップやシンポジウムの研究発表をもとにして論文集を編纂して差しあたりドイツで公刊予定(たとえば、その内のひとつとして、Gerhard Schonrich/Yasushi Kato (Hgg.), Wurde als Wert, mentis Verlagが編集作業中である)である。そして、これらの論文集の翻訳は日本でも刊行を予定している。また、特に(4)に関しては、加藤/松井がこの研究プロジェクトを代表してドイツのビーレフェルト大学で開催されたワークショップ「尊厳-経験的・文化的・規範的次元」において「Bioethics in modern Japan: The case for “Dignity of life"」というテーマで研究発表した。さらに研究成果の一部は最終年度の平成22年度の終わりにNHK文化センター名古屋教室の協力を得て市民講座「現代倫理・「人間の尊厳」を考える」で江湖に還元することもできた。