著者
中島 喜代子 廣出 円 小長井 明美 Nakajima Kiyoko Hirode Madoka Konagai Akemi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要. 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:03899241)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.77-97, 2007-03-30

現在「居場所」という言葉は、日常的によく使用されているが、「居場所」の概念は、一般用語としても、また研究の面においても捉え方が様々であり、明確な定義は定まっていない。そこで、本稿では、子どもの「居場所」の概念を明確にすることを目的としている。この目的を達成するため、まず一般用語としての「居場所」の概念を捉えるために、「居場所」という言葉の登場時期と使用状況を検討し、子どもの「居場所」と社会的背景との関わりの検討を行った。さらに子どもの「居場所」に関する研究を検討することにより、研究レベルの「居場所」の概念を検討した。以上の検討を踏まえ、「居場所」の定義づけを行い、また「居場所」の構造を捉えるため「居場所」の構造を検討し、さらに「居場所」の実態を具体的に捉えるため「居場所」の持つ概念の諸側面を明確にした。そして、現在の子どもの「居場所」づくり事業を検討し、今後の事業に対する提案を行った。
著者
中島 喜代子 小島 里英 服部 いつか
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.13-21, 2013-03-01

本研究では、まちづくりに対する主体的な参画意識を育成するまちづくり学習の手法の一つと考えられる「こどものまち」を小学生対象に実践し、における意識について調査を行い、「こどものまち」が子どもに与える影響を明らかにし、「まちづくり力」について検討した。その結果、以下の知見を得た。(1) 本研究で定義したまちづくり力の要素である課題発見力、総合的思考・判断力、技能・表現力、コミュニケーション力、実践力のすべてがこどものまち体験を通して、向上したことが明らかとなった。(2) 技能・表現力とコミュニケーション力においては、店づくりや売り物品づくり、班での活動などまち体験を通じて実感しやすい部分で大きな影響を与えていることが明らかになった。しかし、擬似的なまち体験から自分のまちに直接つなげて考えることはやや困難であり、課題発見力や総合的思考・判断力における影響は小さい。(3) こどものまちの楽しさの側面では、働く楽しさなどが事前の期待より体験後の楽しさを感じる度合が最も大きくなっており、「こどものまち」は消費者の体験のみでなく、働く体験が子どもに大きく影響を与えていることが明らかになった。