著者
余 健
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.43-51, 2011-03-01

四日市市水沢地区における遊びことばの豊かさ(地域差や世代差)について隣地面接調査とアンケート調査から多角的に解明し、当地の水沢小学校で授業実践することを通じて、子どもたちに友達や家族、そして地域との絆を再確認し、さらに深めてもらうことを目指している。
著者
上垣 渉 佐藤 あつ子 UEGAKI Wataru SATO Atsuko
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.57-66, 2000-03-01

現行の中学校数学科の学習指導においては、3年生の初期の段階で「平方根」の学習が行なわれている。平方根は、生徒がそれ以前の学習によって獲得してきた数概念である有理数とは異なる数概念としての無理数の一例であって、生徒にとっては認識の飛躍が要求される内容の一つであるとも言える。本研究は、そのような無理数概念の形成を平方根の指導を通して実現するために、数学史からの知見を活用しつつ、その指導のあり方を考察しようとするものである。
著者
織田 揮準 中西 智子 廣岡 秀一
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.11-20, 2003-03

平成14年度から学校週5日制度がスタートした。学校週5日制の完全実施によって、児童生徒の学校内で過ごす時間が減少し、児童生徒の生活の場が学校から家庭、地域社会へと変化する。しかし、家庭や地域社会の休校日における児童の受け入れ態勢(受け皿)の不備による学力低下、非行の低年齢化がさらに進行するのではないかと危惧する意見がある。本研究によって、学校週5日制度導入のための試行期間であった平成13年度秋に三重県下の公民館が実施した「休校日における小学校および公民館の児童向け開放の実態」に関する調査結果から、子どもの居場所として公民館がどのような機能を果たしたか、公民館開放の阻害要因は何かなどの実態が明らかにされた。本研究成果が、学校週5日制時代における地域密着型公民館のあり方を創造する話し合いや協議のきっかけとなり、その資料として役立てば幸いである。
著者
後藤 太一郎 西岡 正泰 富野 孝生
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.101-109, 2003-03

三重大学教育学部理科教育講座において、2002年度にフレンドシップ事業として「夏休み・子ども科学教室」を津市内の小学校5・6年生46名を対象に行った。児童には、2日間で物理・化学・生物・地学の4分野の実験を体験させるプログラムを作成し、理科教育コースの学生1・2年生が指導に当たった。アンケート結果から、児童には好評であり、実験は児童の今後の学習に役立つと考えられる。学生の多くは、この教室が子どもへの理解、教員への自覚、および他者との関係につながったと回答していたが、企画・運営に関する取り組みは低かった。理科に強い学生を育てるための一環として、フレンドシップ事業を進めるための今後のあり方について考察した。
著者
河崎 道夫 権部 良子 浅田 美知子 藤本 尚 井本 賢治 吉田 京子
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.9-16, 2005-03
被引用文献数
1

本研究会(幼小連携接続問題研究協議会)は、幼小連携問題について、(1)児童間交流と教員間交流、(2)教育課程の再編、(3)養成課程の改革を三つの課題として取り組んでいる。これまでは(1)全体の取り組みの計画を構造化するとともに、児童間交流の問題を中心とした実践的研究を報告してきた。今回は、(1)3年間にわたり継続的に児童間交流を進めてきた実践の成果と課題を総括すること、(2)2年目となる教育課程の改訂への取り組みの中間報告と今後の展望をまとめた。
著者
中西 知子 平石 賢二
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
no.20, pp.67-76, 2000

授業エスケープ、校則違反などの問題行動を示した中学生の女子事例に対する教育実践の経過を報告し、思春期危機における自立のプロセスについて、①前駆症状期、②危機期、③転換期、④模索・再構築期の4段階から成る仮説的モデルを提示した。また、教師がその自立のプロセスを支援する際の役割と機能についても検討を行なった。
著者
伊藤 幸洋 佐藤 年明
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.111-119, 2004-03

2002年度、「PEACE」と名づけた実践(4年・総合的な学習)を行なった。5つの国に関するGTに来てもらい、GTとの出会いをきっかけに、子どもたちが関心を持って調べたことを、子どもたちから発信する授業を構想した。総合的な学習において、人との出会いを通しての「学習手段」「表現手段(コミュニケーションスキル)」「関わり合う力」の獲得が、どの内容においても必要であると考える。子どもの願いと教師の願い(ねらい)がうまく重なるように、子どもと教師がコミュニケーションしながら学習を進めていくことに、総合的な学習がうまくいくカギがあると考える。また、国際理解の内容を進める上では、「その人と仲良くなりたい」思いを引き出す必要性、GTの体験を聞くことに有効性があると考える。これらの必要性・有効性とも、子どもたちと教師の学び合いによって達成されていくことを、本稿を通して述べた。
著者
中島 喜代子 小島 里英 服部 いつか
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.13-21, 2013-03-01

本研究では、まちづくりに対する主体的な参画意識を育成するまちづくり学習の手法の一つと考えられる「こどものまち」を小学生対象に実践し、における意識について調査を行い、「こどものまち」が子どもに与える影響を明らかにし、「まちづくり力」について検討した。その結果、以下の知見を得た。(1) 本研究で定義したまちづくり力の要素である課題発見力、総合的思考・判断力、技能・表現力、コミュニケーション力、実践力のすべてがこどものまち体験を通して、向上したことが明らかとなった。(2) 技能・表現力とコミュニケーション力においては、店づくりや売り物品づくり、班での活動などまち体験を通じて実感しやすい部分で大きな影響を与えていることが明らかになった。しかし、擬似的なまち体験から自分のまちに直接つなげて考えることはやや困難であり、課題発見力や総合的思考・判断力における影響は小さい。(3) こどものまちの楽しさの側面では、働く楽しさなどが事前の期待より体験後の楽しさを感じる度合が最も大きくなっており、「こどものまち」は消費者の体験のみでなく、働く体験が子どもに大きく影響を与えていることが明らかになった。
著者
佐藤 年明 杉村 伸一 藪中 俊典
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
no.30, pp.77-82, 2010

本稿は、佐藤「小学校性教育における『生命誕生過程』の授業実践の自己分析」(2008年)、「三重大学教育学部附属小学校での2つの実験授業における指導効果の比較検討」(2009年)の続編である。過去2稿で自己分析した授業実践「おなかの中の赤ちゃんの成長」(2007年3月2日、4年B組、全2時間/2007年12月11日、4年C組、全2時間)に続き、2008年度に「おなかの中の赤ちゃんの成長」(2009年1月22日。28日。29日・3月5日、3年A組、全5時間)、「赤ちゃんのいのちの始まりから誕生まで」(2009年1月22日・28日・2月13日・3月3日・6日、5年C組、全5時間)を実施した。2008年度実践は初めて複数の学年学級での並行的実施となった。両学級の学習内容には違いがあるが、学習の総括として子どもたちに「赤ちゃんの旅」と題する作文を書かせたことは共通している。そこで授業者・佐藤と両学級担任の杉村。藪中の共同討議により、学習内容である胎児の成長に関する児童の認識および感情を分析することを今次実践の総括の主要課題に据えた。なお本稿は、平成19年度~ 21年度科学研究費補助金(基盤研究(B))「共生社会における性教育の現代的意義一スウェーデンの先進的事例に学ぶ―」(課題番号19402048)の一環としての、日本における基礎研究の一部をなしている。
著者
中廣 健治 下村 勉 須曽野 仁志
出版者
三重大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
no.33, pp.93-96, 2013

近年、自閉症を有する人たちにタブレット端末を利用したVOCA(Voice Output Communication Aids)が利用され始めてきている。これは、利用者が伝えたい要求のアイコンをタップすることで、機器が相手に画像と音声で内容を伝えるツールである。これにより、障害によるコミュニケーション不良を軽減するのが目的である。しかし、文字や数の理解が難しい人たちには、収納されたデータ内容を理解しやすくするなどの配慮が必要である。本研究では、児童生徒が伝えようとする内容を教員がパソコンでVOCAデータとして作成した。このようにカスタマイズしたVOCAを用いて授業実践を行ったところ、児童生徒の要望が引き出しやすく、かつ教員間でデータを共有できるので児童生徒の主体的な授業参加や教師による継続支援がしやすいなどの効果が見られた。
著者
冨野 孝生
出版者
三重大学
雑誌
三重大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13466542)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.67-74, 2004-03

地域創生の新しい行方が多岐にわたって模索、構築されている時代である。これまでにも同様な企画に沿って地域の社会教育や生涯学習が動き出して来た趣はあるが、真に地域に根ざした地域人の視点から生まれ育って来たものは少なかった。豊かな地域づくりや町づくり、安心と潤いが感じられる豊かな生活に向けた生涯学習環境の構築と拡充は、差し当たってわれわれが現代に強く求めている重要課題でもある。地域の生涯学習センターを起点にいろいろな学習講座が開設されているが、生活のゆとりと向上に関連した企画が主流を成しており、基本的な生活基盤である地域環境の見直しや生き物の生存に関わる将来的な見通しにある学習活動は意外に少数を数えるに過ぎない。環境教育を軸にして、われわれの足下から安心できる学習目標をこの際しっかりした地位に据えることを切望するものである。本報告は、いくつかの生涯学習講座にかかわった経験から、環境問題関連学習をすすめるために環境教育の実績をあげ、同時に進め方のテクニックに触れたものである。