著者
林 知里 岡本 愛花 神林 優花 花田 佳奈 渡邊 えみ 中島 美繪子 Chisato Hayashi Okamoto Aika Kanbayashi Yuka Hanada Kana Watanabe Emi Nakashima Mieko 元千里金蘭大学 看護学部 現大阪大学大学院 医学系研究科附属ツインリサーチセンター 市立豊中病院 淀川キリスト病院 市立池田病院 三木市民病院 元千里金蘭大学 看護学部
出版者
千里金蘭大学
雑誌
千里金蘭大学紀要 (ISSN:13496859)
巻号頁・発行日
pp.67-75, 2012

近年、男女共同参画社会の実現、少子化問題、子どもの社会性の発達や父親自身の人格的成長、QOLやワーク・ライフ・バランスなどとの関連において、父親の育児参加が注目されている。多胎児の父親は単胎児の父親より積極的に育児参加するものが多いとの報告があるが、育児参加が父親に与える影響について多胎児と単胎児の父親を比較した調査はない。そこで、本研究では、多胎児と単胎児の父親の「子育て観・次世代育成観」「母性神話」「仕事観」「子ども観」を調査した。ツインマザースクラブの会員1016名に自己記入式アンケートを郵送、211名の父親から回答を得た(回収率20.8%)。また、比較群として、小中一貫校の児童・生徒および大学生の単胎児の父親300名にアンケート調査を実施し、101名から回答を得た(回収率33.7%)。結果、「子どもが3歳になるまで、母親は育児に専念するほうがよい」「子どもを出産した後は、母親は仕事をやめたほうがよい」といった、いわゆる「三歳児神話」や「母性神話」については、多胎児の父親は単胎児の父親と比較して反対側が有意に多かった。「子育ては自分の自由な時間を奪う」「仕事は自分の自由な時間を奪う」「子育て中は、勤務時間を自分で調整できる方がよい」は多胎児の父親で賛成側が有意に多く、「育児休暇をとると昇進にひびく」は、多胎児の父親で反対側が有意に多かった。ふたごの父親は、単胎児の父親と比較して積極的に育児参加している者が多く、育児の担い手として実質的に育児に関わる経験が母性神話に対する価値観や子育て観、仕事観に影響している可能性が示唆された。
著者
中田 康夫 沼本 教子 片山 恵 片山 京子 吉永 喜久恵 中島 美繪子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.120-128, 1999-11-01
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究は,仮設住宅入居2年後の住民の健康および生活実態を,青壮年期(20〜54歳),向老期(55〜64歳)および老年期(65歳以上)の3つの年齢層別に比較・検討し,特に老年看護の視点から,向老期の住民にどのような看護上の問題があるのかを明らかにすることを目的とした.神戸市中央区の仮設住宅住民のうち調査の同意を得られた301名を対象に実態調査を実施した.その結果,向老期の人々は老年期および青壮年期の人々より,病気がある人(p<0.001),飲酒をする人(p<0.001),喫煙をする人(p<0.001),食事のバランスが悪い人(p<0.05),経済状態が悪い人(p<0.01),暮らし向きの悪い人(p<0.05)の割合が有意に多かった.このことから,向老期の人々は老年期の人々より身体的な健康問題と生活上の問題を多く抱えていることが明らかとなった.以上のことより,大規模災害後の長期的な支援においては,老年期の人々はもちろん,向老期の人々の健康状態にも注意を払っていくことが必要であることが示唆された.