著者
高松 邦彦 村上 勝彦 伴仲 謙欣 野田 育宏 光成 研一郎 大森 雅人 中田 康夫
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.14, pp.22-29, 2021-03-31

教学IRにおいては、従来は説明モデルによる解析や可視化にもとづく意思決定支援が主要な機能であったが、近年では予測モデルにもとづく種々の予測に関してその重要性が高まっているといわれている。そこで本稿では、教学IRにおける機械学習の意義と可能性について、われわれの経験を題材として検討した。われわれの経験では、機械学習を用いることで、大学における中途退学や学力進捗を予測できる可能性があることが明らかになっている。このことから、いわゆる教学データを用いた機械学習により、今までなし得なかった教学上の種々の予測が可能となり、今後のわが国の教学IRが飛躍的に進展する可能性が示唆された。|In institutional research (IR) for education, the decision-making support based on the analysis and visualization by the explanation model was the main function in the past. However, the importance of various predictions based on predictive models is currently increasing in IR for education. Therefore, this paper examined the significance and possibility of artificial intelligence/machine learning (AI/ML) in IR for education using our experience as subjects. Our experience reveals that using AI/ML can predict dropouts and academic progress in university and college. Thus, it is suggested that using students' educational data, AI/ML could make various predictions in higher education that were not possible earlier, leading to dramatic progress in Japan's IR for education.
著者
高松 邦彦 大石 哲也 松本 清 西山 慶太 野田 育宏 今井 匠太朗 伴仲 謙欣 村上 勝彦 岸田 あおい 中田 康夫 森 雅生
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 第11回大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.12-17, 2022-11-11 (Released:2022-12-20)

我々は、 “Education”と“Informatics”を結合させた Eduinformatics という学際・融合領域を提唱してきた。また近年、Eduinformatics にもとづいた高等教育における Institutional Research(IR)、Digital transformation(DX)、Information and Communication Technology(ICT)の持続可能性(Sustainability)について、Feasibility-Sustainability Matrix(FS マトリクス)を使用した Feasibility-Sustainability Analytics(FS 分析)を提唱している。本研究においては、神戸常盤大学と東京工業大学の 2 大学における FS 分析の実践を報告し、さらに、IR 業務の持続可能性を向上させる方法を提案する。
著者
藤井 奈穂子 小野 玲 米田 稔彦 篠原 英記 中田 康夫 長尾 徹 石川 雄一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0241, 2005

【目的】 現在高齢社会である日本では、今後さらに高齢者人口の増加・総人口の減少により平成27年には超高齢化社会に入ることが予測されている。この中で老後の時間をいかに過ごし、いかに生活の質(Quality of Life:QOL)を向上させるかということが重要になる。高齢者のQOLに影響を与える因子としては家族構成・友人関係・健康状態・身体活動習慣等が報告されており、周囲との関わりや活動への参加がQOLの向上に深く関わっていると考えられているが、QOLの概念を細分化し余暇活動習慣との関連を検討した報告は少ない。本研究の目的は地域高齢者の余暇活動の実施状況を把握し、余暇活動とQOLとの関連を検討することである。<BR>【方法】 対象は大阪市内の2ヶ所の老人福祉センター利用者で、質問紙調査に参加した132名(平均72歳、女性96名、男性36名)とした。調査内容は余暇活動の実施状況として活動内容と頻度、QOLを細分化し抑うつ度としてZung Self-Rating Depression Scale(SDS)得点、生活満足度としてLife Satisfaction Index-Z(LSI-Z)得点、健康関連QOLとしてEuroQoL(EQ-5D)効用値である。解析は週1回以上余暇活動を実施している群(実施群)と、週1回未満または実施していない群(非実施群)に分け、各群とSDS・LSI-Z・EQ-5Dとの関連にMann-WhitneyのU検定を用い、活動内容(種目)とSDS・LSI-Z・EQ-5Dとの関連にKruskal-Wallis検定を用いた。危険率は5%未満を有意とした。<BR>【結果】 132名中71名が何らかの余暇活動を1週間に1回以上の頻度で実施していた。実施・非実施の比較では、実施群の抑うつ度が有意に低く、生活満足度が有意に高かったが、健康関連QOLについて有意差を認めなかった。実施者の多かった活動種目は「ダンス」・「歩行」・「卓球」・「グラウンドゴルフ/ゲートボール」で、これらの種目間について抑うつ度、生活満足度、健康関連QOLの比較では有意差は認められなかった。<BR>【考察】 抑うつ度は不安等の精神面の状態を示し、生活満足度は主観的幸福感を示すもので生きがいや幸福といった広義のQOLに含まれる概念である。健康関連QOLは身体機能に起因し医療行為に影響される領域に限定された概念である。本研究の結果より定期的な余暇活動習慣の有無は身体機能との関連よりも精神面での満足感との関連が強いことが明らかとなり、余暇活動の習慣化が精神面および主観的幸福感を良好にすると考えられた。また実施者の多かった活動種目として、高齢者にとって実施しやすい活動や老人福祉センターで実施されている種目があがっており、地域高齢者の身体活動動習慣における老人福祉センターの役割の重要性がうかがわれた。
著者
藤原 桜 尾﨑 雅子 中村 由果理 高野 奈央 高松 邦彦 破魔 幸枝 杉浦 あおい 高松 明子 中田 康夫
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.13, pp.83-92, 2020-03-31

産後の母親の7割は、育児に対して自信がもてず、ストレスを感じ、身体的・精神的な不調を自覚しているといわれていることから、子育て中の母親のストレスに対する支援は重要である。アロマセラピーは、ストレスを軽減することが知られており、産褥期についての報告はあるが、子育て中の母親に対する効果の報告はない。そこで、本研究は、子育て中の母親にアロマハンドマッサージを行い、ストレスに対する効果を生理学的(唾液アミラーゼ活性)および主観的(POMS 2Ⓡ成人用 短縮版)に明らかにした。t検定とWilcoxonの符号付順位検定を用いて、対応のある母平均の差の検定を行い、マッサージの前後について、唾液アミラーゼ活性とPOMS 2Ⓡ成人用 短縮版で計測した。その結果「怒り-敵意」、「混乱-当惑」、「抑うつ-落込み」、「疲労- 無気力」、「緊張-不安」、「総合的気分状態」が有意に低下し、逆に「活気-活力」と「友好」は、有意に上昇した。なお、本研究は平成29年度に、採択された私立大学研究ブランディング事業タイプA「地域子育てプラットホームの構築を通したAll-Winプラン」における研究ブランディングAチームの地域研究の一貫として行われた研究成果である。| Because 70% of postpartum mothers are not confident about childcare, feel stressed, and are aware of physical and mental disorders, it is important to support the mother's stress during childcare. Aromatherapy is known to relieve stress, and there are reports about the effect of aromatherapy on the postpartum period. However, there are no reports on the effects of aromatherapy on the mother during childcare. Therefore, this study clarified the effects on stress, physiologically (saliva amylase level) and subjectively (Japanese version POMS2 shortened version), by giving aroma hand massages to mothers raising children. Using the t-test and Wilcoxon's signed-rank test, the difference between the population means was tested to reveal a decrease in salivary amylase activation and a 7-scale decrease. In addition, this research was conducted in 2017 as a part of the research branding A-team's area of research in private university research branding type A titled "All-Win plan through the construction of a regional childcare platform."
著者
今西 麻樹子 今西 孝充 高松 邦彦 中田 康夫 松田 正文
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.12, pp.29-36, 2019-03-31

本研究は、大学生の心拍変動(Heart Rate Variability)を周波数解析することで得られる自律神経機能(交感神経・副交感神経活動)と生活習慣および精神的健康度との関連を明らかにすることを目的とした。生活習慣は「健康・生活習慣診断検査(Diagnostic Inventory of Health and Life Habit)」を用いて、精神的健康度は「精神的健康パターン診断検査(Mental Health Pattern)」を用いて調査した。3者の関係をみるために、Spearman の順位相関係数ρを算出し、併せて無相関の検定を行った。次に、測定項目間の関連を可視化するために、算出した相関係数からネットワーク解析を行った。その結果、18~24時での交感神経活動が生活習慣の尺度である「休養」、精神的健康度のQOL 尺度および「生活の満足度」「生活意欲」と正の相関を示した。|The purpose of this research is to clarify the relationship between autonomic nervous system (activity of sympathetic/parasympathetic nervous system) assessed by frequency analysis of Heart Rate Variability, lifestyle habits and mental health of university students, using "Diagnosis Inventory of Health and Life habits" and "Mental Health Pattern" respectively. To evaluate the relationship between these three factors, Spearman's rank correlation coefficient (ρ) was calculated and a non-correlation test was performed. Next, correlation network analysis was conducted to visualize the relationship between the measured factors. As a result, sympathetic function from 6 pm to 12 pm showed a positive correlation with "rest", which is a measure of lifestyle habits, as well as "satisfaction of life", and "lifestyle motivation" which are indicators for Quality of Life (QOL) scale of mental health.
著者
松元 英理子 高松 邦彦 坊垣 美也子 今西 麻樹子 関 雅幸 中田 康夫
出版者
神戸常盤大学・神戸常盤大学短期大学部
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.12, pp.17-28, 2019-03-31

コンピテンシーに基づく履修指導(支援)の構築を目的とし、2017年度前期・後期の履修登録期間中に学生20名を対象にチューター教員による面談指導(支援)を行った。指導(支援)用資料として「各学生のコンピテンシー自己評価レーダーチャート・自記式」と、シラバス記載の「評価方法と評価項目との関係」のデータから算出した「各学生の登録科目全体で獲得できるコンピテンシーのレーダーチャート・Web式」「基盤教育分野40科目の関連性を2次元上に可視化した図」を作成した。これらを活用し、学生が苦手な部分を伸ばすのか、得意な部分を伸ばすのか、そのためにどの科目を履修すれば良いかなどについて履修指導(支援)を行った。履修登録は学生の判断にゆだねたが、本法による履修指導(支援)が、学生に対しコンピテンシーを意識した学修への動機づけができたことが明らかになった。一方、それらを成し得るための教学面での改善点もいくつか浮かび上がった。|While competency-based education has become a popular topic in the field of higher education, it has only recently been introduced in most Japanese universities. Kobe Tokiwa University is currently undergoing reforms—one of which is competency-based education. Our university has developed a common evaluation indicator called "Tokiwa competencies" that students can acquire through regular, quasi-regular (or remedial), and extra-curricular (or club) activities. This article describes the prototype of competency-based education in Kobe Tokiwa University and how it was developed through action research. Introducing our own efforts to effectively conduct competency-based education, this article details the prototype of lecture-select-coaching through a combination of competency-based education and a web-based support system that enables students to select courses using Tokiwa competencies. The Web-based Radar Chart System of Tokiwa Competencies facilitates a new way to visualize curricula using Tokiwa competencies through a combination of cosine similarity, multidimensional scaling methods (MDS), and scatter plotting. We conclude that it is important that students can reflect on and interpret Tokiwa competencies for themselves.
著者
中田 康夫 田村 由美 澁谷 幸 平野 由美 山本 直美 森下 昌代 石川 雄一 津田 紀子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.27-32, 2003
被引用文献数
1

本研究は、基礎看護実習Iの実習日誌として学生に課した2002年度および2001年度のリフレクティフシャーナル(以下、RJ)の内容を分析検討し、RJにおけるリフレクションに必須なスキル(以下、リフレクティフなスキル)の活用状況を明らかにするとともに、リフレクティフなスキルの修得促進のためのRJの早期導入の意義について検討することを目的とした。両年度の相違は、2002年度は基礎看護実習Iに先行して開講している演習に演習日誌としてRJを導入したが、2001年度は演習にRJを導入していないことてある。2002年度の実習期間中に毎日提出された64名のRJにおいて、リフレクションの必須スキルが活用されているかどうかについて、各々の定義をもとに詳細に分析・検討を行い、2001年度の58名のそれと比較した。その結果、「自己への気付き」のスキルの活用が、5日間のRJのうち少なくとも1日分のRJにおいてみられた学生の割合は155%から344%へ増加し、また、「分析」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断できた学生の割合はO%たったものが14.1%認められた。一方、「記述描写」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断てきた学生は、両年度とも全員であり、相違は認められなかった。以上のことから、RJの早期導入は、学生のリフレクティフなスキルの活用修得をより促進することが示唆された。したがって、実践的思考能力育成のためにも看護基礎教育においてRJを早期に導入することは意義があると考えられた。
著者
中田 康夫 田村 由美 藤原 由佳 森下 晶代 平野 由美 石川 雄一 津田 紀子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.131-136, 2002
被引用文献数
1

本研究は、基礎看護学実習Iの実習日誌として学生に課したリフレクティブジャーナル(以下、RJ)の内容を分析・検討し、RJにおけるリフレクションに必須なスキル(以下、リフレクティブなスキル)の活用の有無を明らかにするとともに、RJがリフレクティブなスキルの修得に効果があるかどうか検討することを目的とした。実習期間中に毎日提出された58名のRJにおいて、リフレクションの必須スキルと考えられている「自己への気付き」のスキルおよび「記述・描写」のスキルが活用されているかどうかについて、各々の定義をもとに詳細に分析・検討を行った。その結果、「記述・描写」のスキルの活用が、5日間のRJのうち少なくとも1日分のRJにおいてみられた学生は全員であったが、「自己への気付き」のスキルを活用のそれについては15.5%であった。以上のことから、実習日誌としてのRJはリフレクティブなスキルのうち「記述・描写」のスキルの活用・修得を促し、なおかつ「自己への気付き」のスキルの活用・修得を促進する1つの方法になり得ることが示唆された。したがって、実践的思考能力に必要不可欠であると考えられているリフレクティブなスキルの修得のために、基礎看護学実習1においてRJを導入することは意義あるものと考えられた。
著者
中田 康夫 沼本 教子 片山 恵 片山 京子 吉永 喜久恵 中島 美繪子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.120-128, 1999-11-01
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究は,仮設住宅入居2年後の住民の健康および生活実態を,青壮年期(20〜54歳),向老期(55〜64歳)および老年期(65歳以上)の3つの年齢層別に比較・検討し,特に老年看護の視点から,向老期の住民にどのような看護上の問題があるのかを明らかにすることを目的とした.神戸市中央区の仮設住宅住民のうち調査の同意を得られた301名を対象に実態調査を実施した.その結果,向老期の人々は老年期および青壮年期の人々より,病気がある人(p<0.001),飲酒をする人(p<0.001),喫煙をする人(p<0.001),食事のバランスが悪い人(p<0.05),経済状態が悪い人(p<0.01),暮らし向きの悪い人(p<0.05)の割合が有意に多かった.このことから,向老期の人々は老年期の人々より身体的な健康問題と生活上の問題を多く抱えていることが明らかとなった.以上のことより,大規模災害後の長期的な支援においては,老年期の人々はもちろん,向老期の人々の健康状態にも注意を払っていくことが必要であることが示唆された.