著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-8, 1980-06-30

加糖脱脂乳培地でのフィチンの乳酸菌発育促進効果を, Lact. casei(代田株, YIT-9018), Lact. acidophilusを用いて検討し, 次の結果を得た。1.米糠から抽出した粗フィチン, および市販試薬用フィチンは, 米胚芽水抽出液には劣るが, かなりの乳酸菌発育促進効果を示した。2.フィチンをDowex 50(H^+)で処理し, NaOH中和したものには乳酸菌発育促進効果が認められなかった。3.市販フィチン酸もほとんど乳酸菌発育促進効果を示さなかった。4.フィチンの灰化物には灰化前とほぼ同じ乳酸菌発育促進効果が認められた。5.これらの実験結果から, フィチンあるいは粗フィチンの無機カチオン部分が乳酸菌発育促進効果を示すものと考えた。
著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.59-67, 1994-12-10

脱脂乳にマンガン(Mn)を添加した場合の乳酸菌の発育におよぼす影響について、酸生成量を乳酸菌の発育の指標として検討し、次の結果を得た。1. 著者が動植物材料の乳酸菌発育促進物質の検討に用いてきたLactobacillus casei YIT-9018およびLact. acidophilus S-1へのMnの発育促進作用について再実験した。Lact. casei YIT-9018は37℃、48時間後MnCl_2の1.0mM濃度の添加で、Lact. acidophilus S-1は37℃、72時間後0.1mM濃度で、それぞれ最も発育を促進された。前者は対照の約80%、後者は約280%、それぞれ酸生成量が多かった。0.1mMのMnCl_2の添加で、両株とも37℃、10日で最大となり、対照にくらべて総酸生成量が多かった。とくに、培養時間の短いときに、発育促進効果が大きかった。2. 日本乳業技術協会分譲菌Lactobacillus 4株、Lactococcus 2株、Streptococcus 1株、および発酵研究所分譲菌Lactobacillus 2株についてMnの発育促進作用について検討した。Lact. acidophilus L-54,Lact. casei subsp. casei L-14,Lact. delbrueckii subsp. bulgaricus B-5b, and Lact. paracasei subsp. paracasei IFO-3533はMnにより大なり小なり発育を促進された。しかし、Lact. helveticus B-1とLact. delbrueckii subsp. bulgaricus IFO-13953に対してはMnの発育促進効果はなく、MnCl_2の10mMで阻害された。Lactococcus, Streptococcusの3株にはMnはほとんど影響をあたえなかった。
著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.79-86, 1997-01-11

魚の胆嚢の医薬としての効能効果について調べた。1) 鯉魚胆は中国の最古の薬物学書『神農本草経』に記載されている。その他, 『本草綱目』, 『本朝食鑑』, 『東邦薬用動物誌』, 『中薬辞典』, 民間療法の本, などに記載の薬効を引用した。2) 〓魚胆, 青魚胆, 〓魚胆, 〓魚胆, 鱧魚胆, 鮫魚胆, 〓魚胆についても, 同様に薬効を調べ, 引用した。
著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.1-16, 1994-06-20

軟骨の食品としての利用について調べまとめた。1) 軟骨の存在と機能、成分および栄養価値、機能性について概説した。成分はコラーゲンとプロテオグリカンである。プロテオグリカンのムコ多糖成分がコンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸である。とくに食品として摂取されるとき、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖の機能性が期待される。2) クジラの軟骨の食品としての利用について古書の『本朝食鑑』、『鯨史稿』、『鯨肉調味方』の記録を紹介した。とくに蕪骨(かぶらぼね)について詳細に引用した。3) 『日本水産製品誌』(明治28年編集)から明骨(めいこつ)の本邦での製造の経緯についての詳しい内容を引用した。4) 鮫氷(さめすが)について説明した。5) 魚唇(ユィチュヌ)、氷頭(ひず)について説明した。6) ブタの軟骨の食品としての利用について説明した。
著者
中嶋 昭正
出版者
福岡国際大学・福岡女子短期大学
雑誌
福岡女子短大紀要 (ISSN:02860546)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-14, 1992-06-30

1. コンドロイチン硫酸ナトリウムの医薬品, 食品添加物, 化粧品原料としての利用と, その製造原料について, また, コンドロイチン硫酸を成分とする健康食品および, いわゆる機能性食品の現状について, それぞれ解説した。2. 医薬品, 食品添加物, 化粧品原料としてのコンドロイチン硫酸製品の含量の公定の規格について解説した。それらは同じNおよびS含量値である。また, 健康食品の公示規格についても解説した。3. 原料としてヨシキリザメなどのヒレ軟骨を用いて, 著者のクジラ軟骨からのアルカリ溶解法による製法を適用しての粗製コンドロイチン硫酸ナトリウムの調製について検討した。若干の改変を加えることにより, 医薬品などの含量規格に合うものを調製することができる。4. さらに, 沈殿に用いるエタノール量について検討し, アルカリ溶解液の1.0倍容量で十分であること, また, 軟骨の溶解に用いる50% NaOH溶液を原法の半分にできることが分った。5. アルカリ溶解法によって得られた粗製サメコンドロイチン硫酸ナトリウムからの精製品の分析値を示した。