著者
中川 武子 水本 トシ子 宮本 ひでみ
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.229-238, 2011 (Released:2013-02-22)
参考文献数
9

2011年3月11日の東日本大震災発生後3週間目に,石巻市内の避難所において災害支援ナースとして支援活動にあたり,食中毒予防のために避難所の被災者に配給された消費期限切れの食品回収作業を実施した.約360人が生活している避難所では,咳嗽,嘔吐,下痢などを訴える人が多く,感染症も増えつつあった.被災者の中には消費期限切れの食品を保持している人がいた.それは「食品を捨てるのはもったいない」という気持ちと「食料が確実に配給される補償がない」という不安があったためであった.感染症予防の必要性を認識した担当者は,被災者の気持ちに配慮し,消費期限切れの食品を差し出しやすい環境を整えた.A4サイズの小さな箱を準備し,「私達がお預かりします」と声をかけ,消費期限切れ食品を回収した.その結果,消費期限切れの食品の量は,約50cm四方の段ボール箱5~6個分になった.回収した食品の内容は,家庭で作ったおにぎり,消費期限が1週間以上過ぎたおにぎり,菓子パン,食パンなどであった.特に食パンが多かった.緊急時においては,被災者が自分自身で食料を選択する環境が整っていない.そのような状況においては,被災者を食中毒から守るため,医療従事者の支援が必要である.
著者
中川 武子
出版者
九州看護福祉大学
雑誌
九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.109-123, 2014

本学の東日本大震災復興支援ボランティアは、2011年8月に第1回の学生を福島県いわき市に送り出し、2014年3月までの3年間に6回の活動を継続した。本ボランティアには3年間で、学生延べ59人、教員延べ12人、合計延べ71人が参加した。現地では、いわき市のNPO法人ザ・ピープルの協力のもと、被災地の視察、現地学生との交流、各種事業への協力、交流サロンや仮設住宅の集会場や公民館などでの薬草足湯・薬草茶などの提供を行った。活動に参加した学生達からは、「現地に行かなければわからないことがある」「現地でしか感じることができないことがある」という声がきかれた。 現地での活動終了後に毎日行われたミーティングは、学生自身の不安な気持ちを仲間と共有できる大事で必要な時間となった。また、自分自身のもやもやとした気持ちや行き場のない思いを仲間に話すことによって、気持ちを整理すると同時に、仲間の話を聞くことで自分自身が気づかなかった思いや感情を知る機会になった。このボランティアは、大学をはじめ後援会などの全面的な支援により継続することができた。本ボランティアの第1回から第6回までの活動をまとめた。