著者
大月 友 松下 正輝 井手 原千恵 中本 敦子 田中 秀樹 杉山 雅彦
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.89-100, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、社会的状況や自己に対する潜在的連合がスピーチ場面における個人のどのような側面の不安反応と関連するか、SocialPhobiaScale(SPS)やFearofNegativeEvaluationScale(FNE)といった顕在指標との比較を通して検討することであった。32名(男性16名・女性16名)の大学生に、Go/No-goAssociationTask(GNAT)で潜在的連合の測定を行い、覚醒水準の高い15名をGNATの分析対象者とした。また、スピーチ場面での不安反応として、認知的反応(思考反応)、主観的緊張感・不安感、生理的反応、行動的反応の各側面が測定された。実験の結果、顕在指標はスピーチ時の認知的側面や主観的側面の不安反応と関連しているのに対して、潜在的連合は生理的側面や行動的側面の一部の不安反応と関連していることが示された。これらの結果から、社会不安のアセスメントにおける潜在的連合の有用性が示唆された。