著者
中原 由美 柳 尚夫 相田 一郎 城所 敏英 本保 善樹 中本 稔 中里 栄介
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.409-415, 2016

<p><b>目的</b> 平成26年4月に改正精神保健福祉法が施行された。全国保健所長会においては,さまざまな方法で,保健所に対し,改正法への取り組みを促してきた。</p><p> 26年度地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業においては,保健所の取り組みの普及を目的としたガイドラインを作成するために,改正法施行後の保健所の取り組み状況や課題について実態把握を行った。</p><p><b>方法</b> 対象は全国の490保健所で,平成26年10月~12月に,26年度地域保健総合推進事業全国保健所長会協力事業として,全国保健所長会一斉電子メールを使って調査を実施した。調査内容は,管内に精神科病院がある保健所については,全国保健所長会が提案した保健所が取り組む具体的項目を踏まえ,退院支援委員会の参加状況や精神科病院実地指導の状況,また保健所に提出されている入退院届や入院診療計画書等を活用して,管内精神科病院の新規医療保護入院患者の状況や退院支援委員会の開催状況等についてとした。管内に精神科病院のない保健所については,退院支援委員会への参加状況等についてとした。</p><p><b>結果</b> 回答保健所数は281か所(回答率57.3%)であった。管内に精神科病院がある253保健所では,退院支援委員会の開催状況を全く把握していない保健所が38.7%あった。退院支援委員会へは,開催状況を把握している131保健所の71.0%が参加していなかった。保健所等の退院支援委員会への参加について,病院への働きかけは,63.6%が行っていなかった。</p><p> 253保健所から回答を得た855の精神科病院については,26年4月から9月末までの新規医療保護入院患者の推定入院期間で1年以上と記載があったものが1.6%あった。そのうち認知症患者でみた場合,1年以上が2.6%あった。26年4月から9月末までの新規医療保護入院患者における9月末までに医療保護入院を退院となった患者の処遇については,自宅が42.1%,その病院での入院継続が21.7%であった。</p><p> 管内に精神科病院のない28保健所では,退院支援委員会へは82.1%が参加していなかった。保健所等の退院支援委員会への参加について,病院への働きかけは,64.3%が行っていなかった。</p><p><b>結論</b> 改正法における保健所の役割として,入退院届等を活用した管内精神科病院の現状把握,退院支援委員会への参加,実地指導への積極的な関与,推定入院期間「原則1年未満」の徹底,入院継続患者の情報把握および地域移行の推進に向けた保健所の関与が必要であると考えられた。</p>
著者
原田 規章 中本 稔
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.167-171, 1997-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5

医学部入学者318名を対象に, 入試における面接評価点と留年・退学, 医師国家試験 (以下, 国試) 合否との関連を検討した.一般入試では面接評価の低い者に留年の発生率が高いことが明らかに認められ, とくに面接評価点が11点以下では12点以上の学生に比べて学生あたりの平均留年年数が3倍以上であった. これは現役入学生に限定しても同様であった. 推薦入試では面接評価と留年・退学, 国試合否との関係は明確でなかった. これには選抜効果を考慮する必要がある. また, 留年経験者は国試不合格率が明らかに高いことが認められた. 今後, 面接方法の改善をはかるとともに一般入試においても面接評価をより積極的に取り上げる必要があると考える.