著者
西村 桂一 前田 樹海 中村 きよみ
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.155-160, 2012 (Released:2012-08-21)
参考文献数
18
被引用文献数
1 4

わが国の栄養学では,類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめて,食育や食事療法などに活用している。一方,中医営養学では,食べることにより体を温める食品を温性,冷やす食品を寒性とするなど,食品の体への作用を「食性」として分類している。これまでに「食品群」と「食性」との関連性を調べた研究はない。そこで,『食物性味表』(日本中医食糧学会編著)記載の291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し,「食品群」と「食性」との関連性を調べた。その結果,調味料や香辛料類にからだを温める「食性」を持つ物が多いこと,穀類や藻類などにからだを冷やす「食性」を持つ物が多いなど,いくつかの「食品群」と「食性」とのあいだに統計学的に有意な関連がみられた。これらの情報は今後,食品による健康作りへの活用が期待される。
著者
西村 桂一 前田 樹海 中村 きよみ
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.91-97, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
12

わが国では, 栄養学の観点から類似した数種の食品を野菜類や肉類などの「食品群」としてまとめ, 食育や食事療法などに活用されている。一方, 中医営養学においては, 食味すなわち食品の持つ味そのものが何らかの効能を持つと考えられており, 食味に基づいて食品はいくつかのカテゴリーに分類されている。この考え方は, 五行論, すなわち中国の5要素理論に由来しており, これらの5要素は臓腑ならびに食味と関連がある。本研究の目的は, これまで研究が皆無であった中医営養学の「食味」と「日本食品標準成分表」との関連性を明らかにする。『食物性味表』 (日本中医食養学会編著) 記載 (類推食品を除く) の379品中291品を『日本食品標準成分表』の「食品群」で分類し, 「食品群」と「食味」との関連性をFisherの正確確率検定で解析した。その結果, 解析対象の食品の約半数が「甘」であった。統計的に有意な関連性が示されたのは, 「甘」と「砂糖及び甘味類」, 「甘」「酸」と「果実類」, 「鹹」と「藻類」であった。これらの情報は健康作りへの活用が期待される。