著者
山﨑 有人 中村 保宏 佐藤 文俊 笹野 公伸
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.232-239, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

副腎皮質癌,褐色細胞腫は副腎に発生する悪性腫瘍であり,専門性の高い診療,病理診断が求められる領域である。WHO分類2017の刊行により,副腎皮質癌では好酸性細胞型亜型,肉腫様亜型,粘液型亜型の3つが新たな組織亜型分類として認識されるようになり,褐色細胞腫では全ての症例において悪性のポテンシャルを有する腫瘍と定義付けられた。それに加え,副腎皮質癌ではENSATの診療ガイドライン(2018)が改訂され,診療方針の変遷が注目されている。近年,副腎腫瘍の領域においても病態発生に関与する遺伝子変異が数多く報告されてきているが,副腎皮質癌では治療標的因子や予後因子となるような遺伝子異常は未解明なままである。一方,褐色細胞腫ではここ数年で,病態に関与する遺伝子異常が数多く発見され,genotypingの重要性が注目されてきている。本稿では,副腎皮質癌と褐色細胞腫・傍神経節腫に焦点を当てて,両疾患における病理・病因の最新の知見を概説する。
著者
中村 保宏 鈴木 貴 渡辺 みか 笹野 公伸
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.32-35, 2013

原発性アルドステロン症(PA)は,副腎組織からのアルドステロン過剰産生に伴い高血圧や重症な合併症を引き起こす病態である。通常,PAのうち術前にアルドステロン産生副腎皮質腺腫(APA)と診断された症例において手術が行われ,その後病理学的診断がなされる場合がほとんどであるが,時に腫瘍径が非常に小さいためその病理学的診断が困難なケースも決して稀ではない。その場合,免疫組織化学的検討による病変の同定が有用となる。また,APAとの鑑別診断ではアルドステロン過剰産生を伴う原発性副腎皮質過形成,すなわち特発性アルドステロン症(IHA)の病理学的診断についても十分理解しておくことが重要である。